内視鏡的整復によって待機的に手術を施行した低異型度虫垂粘液性腫瘍による腸重積の1例

症例は55歳,女性。2週間前からの心窩部痛を主訴に近医を受診し腸閉塞の診断で当科紹介となった。腹部CTで横行結腸に腸管の嵌入像を認め,腸重積と診断した。緊急で下部消化管内視鏡検査を施行し,横行結腸に先進部を認めたため送気により整復した。虫垂開口部に腫瘤を認め,虫垂粘液産生腫瘍の診断で待機的に手術を施行した。腹腔鏡下で手術を行い,虫垂は緊満していたものの漿膜面は正常で粘液瘤の破裂も認めなかった。盲腸部分切除術を施行し,術後経過良好で退院となった。病理所見からlow-grade appendiceal mucinous neoplasm(以下,LAMN)と診断した。LAMNは無症状で経過することが...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 3; pp. 543 - 545
Main Authors 刑部, 洸, 淺野, 博, 髙山, 哲嘉, 鈴木, 将臣, 石澤, 圭介, 浜田, 芽衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2024
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Summary:症例は55歳,女性。2週間前からの心窩部痛を主訴に近医を受診し腸閉塞の診断で当科紹介となった。腹部CTで横行結腸に腸管の嵌入像を認め,腸重積と診断した。緊急で下部消化管内視鏡検査を施行し,横行結腸に先進部を認めたため送気により整復した。虫垂開口部に腫瘤を認め,虫垂粘液産生腫瘍の診断で待機的に手術を施行した。腹腔鏡下で手術を行い,虫垂は緊満していたものの漿膜面は正常で粘液瘤の破裂も認めなかった。盲腸部分切除術を施行し,術後経過良好で退院となった。病理所見からlow-grade appendiceal mucinous neoplasm(以下,LAMN)と診断した。LAMNは無症状で経過することが多いが腸重積の原因ともなり得るため緊急手術となることもある。術前診断は困難であるため拡大手術となることもある。今回内視鏡的に腸重積を整復し待機的に盲腸部分切除を施行することができた1例を経験したため報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.543