膝窩動脈瘤の治療戦略 手術時期,アプローチ,グラフト選択について

要旨:【目的】膝窩動脈瘤は破裂しても生命の危険は少ないが,下肢切断となる危険性が高い疾患である.今回われわれは,膝窩動脈瘤の治療戦略について検討した.【方法】山梨大学(1992〜2011)と東京医科大学八王子医療センター(2005〜2011)の症例をretrospective に比較検討した.【結果】21 人29 肢(男17 女4,平均73.6 歳),平均瘤径33.9 mm.手術は23 肢(79.3%)に施行(血行再建術21,膝下切断術2).血行再建の術式は,直接吻合術1 肢とバイパス手術20 肢(SVG 10,人工血管10).術後平均観察期間は1364日,全グラフト5 年開存率は71.8%で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 7 - 12
Main Authors 本橋, 慎也, 佐藤, 正宏, 加賀, 重亜喜, 松本, 雅彦, 榊原, 賢士, 進藤, 俊哉, 神谷, 健太郎, 鈴木, 章司, 井上, 秀範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2014
日本血管外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.13-00053

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨:【目的】膝窩動脈瘤は破裂しても生命の危険は少ないが,下肢切断となる危険性が高い疾患である.今回われわれは,膝窩動脈瘤の治療戦略について検討した.【方法】山梨大学(1992〜2011)と東京医科大学八王子医療センター(2005〜2011)の症例をretrospective に比較検討した.【結果】21 人29 肢(男17 女4,平均73.6 歳),平均瘤径33.9 mm.手術は23 肢(79.3%)に施行(血行再建術21,膝下切断術2).血行再建の術式は,直接吻合術1 肢とバイパス手術20 肢(SVG 10,人工血管10).術後平均観察期間は1364日,全グラフト5 年開存率は71.8%であった.有症状の12 肢で緊急手術(血行再建術11)が必要であった.瘤径が小さい2 症例(15,30 mm)で膝下切断となった.開存率は待機手術で100%,緊急手術で44.3%であった.アプローチ別開存率では,内側アプローチのSVG もしくは直接吻合で88.9%,人工血管で45.7%となり,後方アプローチの人工血管で100%であった.内側アプローチ中1 例で瘤再拡大により再手術が必要となった.グラフト別開存率では,SVG で87.5%,人工血管8 mm 以上で100%,8 mm未満で31.3%であった.【結論】膝窩動脈瘤は無症状での待機的血行再建手術を推奨する.アプローチ別による開存率に有意差はないが,後方アプローチによる術式には根治性が高い可能性が示唆された.グラフト別の開存率では,8 mm 以上の人工血管はSVG 同様の良好な開存率があると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.13-00053