等高線を用いた地形解析による第四紀火山の山体下の岩脈分布および火道安定性評価

火山防災におけるリスク評価や高レベル放射性廃棄物の地層処分に係るサイト選定および安全評価を行う上で,マグマの移動経路であった山体下の岩脈の分布に関する研究事例を蓄積していくことは重要である.火山地形は,火山活動に伴うマグマの貫入位置やその履歴を表していると考えられている.本研究では,GISを用いた地形解析により火山を構成する等高線の分布,重心,面積から,放射状岩脈の卓越方位の把握および火道の安定性評価を試みた.地形解析の結果,火道安定型の火山に対して岩脈の卓越方位を示すことができた.一方で,火道不安定型の火山は,本解析による岩脈の卓越方位の把握には適さず,その適用範囲が火道の安定性に依存すると...

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Published in応用地質 Vol. 64; no. 3; pp. 98 - 111
Main Authors 西山, 成哲, 川村, 淳, 梅田, 浩司, 丹羽, 正和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本応用地質学会 10.08.2023
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Summary:火山防災におけるリスク評価や高レベル放射性廃棄物の地層処分に係るサイト選定および安全評価を行う上で,マグマの移動経路であった山体下の岩脈の分布に関する研究事例を蓄積していくことは重要である.火山地形は,火山活動に伴うマグマの貫入位置やその履歴を表していると考えられている.本研究では,GISを用いた地形解析により火山を構成する等高線の分布,重心,面積から,放射状岩脈の卓越方位の把握および火道の安定性評価を試みた.地形解析の結果,火道安定型の火山に対して岩脈の卓越方位を示すことができた.一方で,火道不安定型の火山は,本解析による岩脈の卓越方位の把握には適さず,その適用範囲が火道の安定性に依存すると考えられた.火道の安定性は,等高線ポリゴンの面積データを用いた解析を行うことで評価が可能であり,岩脈の卓越方位の把握手法への適用範囲を示すことができる.このことから,火山の活動履歴が詳らかになっていない火山についても,火道の安定性について評価が可能であり,地形解析はそのツールとして有用である.今後,本研究による地形解析が,火山の活動履歴を明らかにするための新たな手法となることが期待される.
ISSN:0286-7737
1884-0973
DOI:10.5110/jjseg.64.98