リーチング用鉄酸化細菌の回分培養における菌体収率, 最大比増殖速度および飽和定数の温度依存性

同和鉱業小坂鉱業所, 田中鉱業土畑鉱業所および足尾銅山観光の3カ所より採取した液中に, 第一鉄イオンを酸化する能力のあるバクテリアを見い出した.これらの鉄酸化細菌に対する回分培養実験を行い, 基質濃度に対する菌体収率の一定性を確かめ, また菌体収率の温度依存性を調べた.Laceyらは, 鉄酸化細菌の回分培養における基質 (第一鉄イオン) 消費および菌体増殖の経時変化を, Michaelis-Menten機構との類似性に基づいて解析している.本実験で得られた鉄酸化細菌の基質消費および菌体増殖の経時変化の結果は, 最小二乗法を適用することによってLaceyらの解析式と一致することが確かめられた.こ...

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Published in化学工学論文集 Vol. 15; no. 2; pp. 411 - 415
Main Authors 小林, 一正, 西尾, 忠, 油川, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 化学工学会 1989
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Summary:同和鉱業小坂鉱業所, 田中鉱業土畑鉱業所および足尾銅山観光の3カ所より採取した液中に, 第一鉄イオンを酸化する能力のあるバクテリアを見い出した.これらの鉄酸化細菌に対する回分培養実験を行い, 基質濃度に対する菌体収率の一定性を確かめ, また菌体収率の温度依存性を調べた.Laceyらは, 鉄酸化細菌の回分培養における基質 (第一鉄イオン) 消費および菌体増殖の経時変化を, Michaelis-Menten機構との類似性に基づいて解析している.本実験で得られた鉄酸化細菌の基質消費および菌体増殖の経時変化の結果は, 最小二乗法を適用することによってLaceyらの解析式と一致することが確かめられた.これらの結果より, 温度範囲15~40℃における菌体収率Y, 最大比増殖速度μmおよび飽和定数Kの値を求めた.Yおよびμmの値はともに25~30℃で最大を示した.これらの実測値は, 「最適な培養温度は27~30℃である」という従来の説を支持するものである.本研究で提出した値は, これらの菌を金属硫化物のリーチングに適用するときの基礎データとなるものである.
ISSN:0386-216X
1349-9203
DOI:10.1252/kakoronbunshu.15.411