上顎全部床義歯の維持力測定における最適部位と荷重方法の検討

全部床義歯治療において維持力の評価は重要であるが,客観的指標はなく主観的評価で行われている。過去の研究では,維持力測定に大がかりな装置を用いていた。本研究では開発した維持力測定装置を用い,簡便な維持力測定方法の確立を目的とした。 被験者は30名の上顎無歯顎者とした。牽引測定は66中心窩を結んだ線と正中線の交点(C),後縁正中(P),6中心窩(MF)とした。加圧測定は11切縁の正中 (IE),4頰側咬頭(PC)とした。開発した装置を用いて各5回測定し,義歯離脱時の荷重量を維持力とした。ただし,被験者が測定中に痛みを訴えた場合等は測定を中止し,2回連続で中止した部位は測定不能とした。統計学的分析は...

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Published inRonen Shika Igaku Vol. 30; no. 1; pp. 25 - 36
Main Authors 高山, 真里, 北川, 昇, 青柳, 佳奈, 中津, 百江, 佐藤, 裕二, 角田, 拓哉, 椿田, 健介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 2015
Japanese Society of Gerodontology
Subjects
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.30.25

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Summary:全部床義歯治療において維持力の評価は重要であるが,客観的指標はなく主観的評価で行われている。過去の研究では,維持力測定に大がかりな装置を用いていた。本研究では開発した維持力測定装置を用い,簡便な維持力測定方法の確立を目的とした。 被験者は30名の上顎無歯顎者とした。牽引測定は66中心窩を結んだ線と正中線の交点(C),後縁正中(P),6中心窩(MF)とした。加圧測定は11切縁の正中 (IE),4頰側咬頭(PC)とした。開発した装置を用いて各5回測定し,義歯離脱時の荷重量を維持力とした。ただし,被験者が測定中に痛みを訴えた場合等は測定を中止し,2回連続で中止した部位は測定不能とした。統計学的分析は三元配置分散分析,Tukey の多重比較と Pearson の相関分析を用いた。C,MF は約半数で測定不能で,P,IE,PC は全被検者で測定可能であった。P,IE 間に有意差はなく,PCはPとIEに比べ有意に大きかった(p<0.01)。PとIE間(r= 0.640),PとPC間(r=0.452)ともに有意な正の相関が認められた。 過去の文献からも P は維持力測定に適した部位ではあるが,チェアサイドにて簡便に測定することは不可能である。IEはPと強い相関を示すことから,シーネが不要で測定可能な IE の加圧測定の方が,簡便に維持力の客観的評価を行うには適していることが示唆された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.30.25