親への愛着および教師・友人関係に対する満足感が学校適応感に及ぼす影響

本研究の目的は,生徒が学校生活をどう感じているかといった主観的な感覚に焦点を当てた学校適応感(「居心地の良さの感覚」,「被信頼・受容感」,「劣等感の無さ」)に対して,家庭内の対人関係である親への愛着と学校内の対人関係である教師および友人関係への満足感がどのように影響するのかについて検討することであった。中学生を対象に質問紙による調査を行った。その結果,親への愛着および教師・友人関係への満足感がそれぞれ中学生の学校適応感に正の影響を及ぼしていることが明らかとなった。さらに,親への愛着と教師や友人との関係への満足感の交互作用が学校適応感へ影響していることも示された。このことから,親子関係が不安定な...

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Published in教育心理学研究 Vol. 66; no. 2; pp. 127 - 135
Main Authors 喜田, 裕子, 黒川, 光流, 林田, 美咲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.06.2018
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ISSN0021-5015
2186-3075
DOI10.5926/jjep.66.127

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Summary:本研究の目的は,生徒が学校生活をどう感じているかといった主観的な感覚に焦点を当てた学校適応感(「居心地の良さの感覚」,「被信頼・受容感」,「劣等感の無さ」)に対して,家庭内の対人関係である親への愛着と学校内の対人関係である教師および友人関係への満足感がどのように影響するのかについて検討することであった。中学生を対象に質問紙による調査を行った。その結果,親への愛着および教師・友人関係への満足感がそれぞれ中学生の学校適応感に正の影響を及ぼしていることが明らかとなった。さらに,親への愛着と教師や友人との関係への満足感の交互作用が学校適応感へ影響していることも示された。このことから,親子関係が不安定なまま育ってきた生徒であっても,学校内の対人関係に満足していることが補償的に働き,学校適応感が高められることや,学校内の対人関係に満足できていない場合,親への愛着の良好さにかかわらず,高い学校適応感が得られにくいことが示唆された。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep.66.127