九州におけるだご汁の伝承と喫食の現状

だご汁およびだご汁類似料理について, 文献調査を行い, 昭和初期頃および昭和中期頃には, 全国各地で様々な料理が家庭で作られ, 食べられてきたことが明らかになった. そのなかでだご汁は, 九州以外ではほぼみられず, 沖縄県を除く九州各県においてだご汁に集約される名称で, 種々食べ継がれていた. だご汁の喫食の現状について, 中学校または高等学校の生徒およびその保護者を対象としたアンケート調査を実施した. 生徒のだご汁喫食経験率は, 九州全体では71.4%であったが, 県によって大きな差がみられ, 熊本県と大分県が90%以上と特に高く, 鹿児島県では低かった. 喫食経験のある生徒は, だご汁を好...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 72; no. 9; pp. 565 - 580
Main Authors 秋永, 優子, 武田, 珠美, 西田, 真紀子, 糦須海, 圭子, 阿曽沼, 樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 2021
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Summary:だご汁およびだご汁類似料理について, 文献調査を行い, 昭和初期頃および昭和中期頃には, 全国各地で様々な料理が家庭で作られ, 食べられてきたことが明らかになった. そのなかでだご汁は, 九州以外ではほぼみられず, 沖縄県を除く九州各県においてだご汁に集約される名称で, 種々食べ継がれていた. だご汁の喫食の現状について, 中学校または高等学校の生徒およびその保護者を対象としたアンケート調査を実施した. 生徒のだご汁喫食経験率は, 九州全体では71.4%であったが, 県によって大きな差がみられ, 熊本県と大分県が90%以上と特に高く, 鹿児島県では低かった. 喫食経験のある生徒は, だご汁を好んでいる人が多く, 九州全体で83.0%であった. 保護者は, 喫食経験率が九州全体で99.6%, だご汁を好む割合が88.3%と, 高率であった. 生徒の喫食場所・機会については, 「学校給食」がもっとも多く, 次に多かったのが「自宅」で, 喫食回数が多い県ほど様々な機会に食べられている割合が高かった. だごの形状は, 県によって異なる傾向がみられた. 具材は, 昭和時代以前に比べて様々な食材を組み合わせ, 充実した内容となっていると考えられる. だご汁と一緒に出される料理として最も多くの人からあげられたのは, いずれの県でも白飯であった.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej.72.565