S状結腸無色素性悪性黒色腫の1例

S状結腸に発生した無色素性悪性黒色腫の1症例を経験した.本邦では結腸原発性の悪性黒色腫はこれまで5例報告されているが,無色素性悪性黒色腫となると臨床的・組織学的にも診断が困難な上,きわめて稀な疾患で,本邦において1例の報告があるだけである.症例は49歳女性で,血便,下腹部痛を主訴に来院した.S状結腸にポリープ様病変を認め,S状結腸切除術を行った.当初,組織学的に胞状軟部肉腫や明細胞肉腫の転移が示唆されたが,免疫組織学的にメラノーマ抗体のHMB-45とS-100蛋白染色が陽性であり,無色素性悪性黒色腫と診断した.皮膚や他臓器に異常所見はなく,S状結腸原発とされた.大腸癌に準じた組織学的進行度はH...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 53; no. 2; pp. 91 - 95
Main Authors 福田, 誠, 宮山, 東彦, 長尾, 和治, 松田, 正和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2000
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.53.91

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Summary:S状結腸に発生した無色素性悪性黒色腫の1症例を経験した.本邦では結腸原発性の悪性黒色腫はこれまで5例報告されているが,無色素性悪性黒色腫となると臨床的・組織学的にも診断が困難な上,きわめて稀な疾患で,本邦において1例の報告があるだけである.症例は49歳女性で,血便,下腹部痛を主訴に来院した.S状結腸にポリープ様病変を認め,S状結腸切除術を行った.当初,組織学的に胞状軟部肉腫や明細胞肉腫の転移が示唆されたが,免疫組織学的にメラノーマ抗体のHMB-45とS-100蛋白染色が陽性であり,無色素性悪性黒色腫と診断した.皮膚や他臓器に異常所見はなく,S状結腸原発とされた.大腸癌に準じた組織学的進行度はH0P0n0 ss;stage IIであった.術後化学僚法は施行していないが,術後2年を過ぎた現在,再発の徴候なく健在である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.53.91