Persistent descending mesocolonと馬蹄腎を伴うS状結腸癌の1例
症例は66歳,男性.主訴は下腹部痛.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の2型病変を認め,腹部骨盤造影CTではlong-S型persistent descending mesocolon(以下,PDMと略記)と馬蹄腎を認めた.S状結腸癌cT3N1aM0 Stage IIIbに対し,腹腔鏡補助下S状結腸切除術を予定した.解剖学的異常に加え,小腸浸潤を疑う所見により開腹移行となった.下行結腸は内側へ偏位し,long-S型PDMにより広範な癒着剥離を要した.また,馬蹄腎により下腸間膜動脈根部は腎狭部に覆われており,下腸間膜動脈中枢側への剥離操作は危険と判断し,D2リンパ節郭清とした.手術時間は26...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 12; pp. 1697 - 1702 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2024
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.85.1697 |
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Summary: | 症例は66歳,男性.主訴は下腹部痛.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の2型病変を認め,腹部骨盤造影CTではlong-S型persistent descending mesocolon(以下,PDMと略記)と馬蹄腎を認めた.S状結腸癌cT3N1aM0 Stage IIIbに対し,腹腔鏡補助下S状結腸切除術を予定した.解剖学的異常に加え,小腸浸潤を疑う所見により開腹移行となった.下行結腸は内側へ偏位し,long-S型PDMにより広範な癒着剥離を要した.また,馬蹄腎により下腸間膜動脈根部は腎狭部に覆われており,下腸間膜動脈中枢側への剥離操作は危険と判断し,D2リンパ節郭清とした.手術時間は264分だった.PDMの特徴として,左側結腸間膜の広範囲な癒着と左側結腸間膜の短縮に伴う血管走行異常が挙げられる.また,馬蹄腎併存の手術では過剰腎動静脈,尿管,自律神経の走行に注意が必要である.これらの解剖学的異常を十分に理解して手術に臨むことが肝要である.PDMと馬蹄腎を合併した大腸癌の症例は本邦初報告であり,文献考察を交え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.85.1697 |