重度肘関節外傷に対するヒンジ付き創外固定器の使用経験

重度肘関節外傷では強固な内固定を行うことが困難な骨折と,重篤な靭帯損傷を伴うことが稀ではなく,ギプス内での再脱臼,長期の外固定による関節拘縮や性急すぎる可動域訓練の結果生じる不安定性など様々な問題が生じうる.それに対し,ヒンジ付き創外固定器の使用が有用だったので報告する.対象はTerrible triad3例,肘関節脱臼骨折3例,経肘頭脱臼骨折3例,肘頭粉砕骨折2例,肘関節脱臼1例で,それぞれ骨接合術,靭帯縫合術,観血的脱臼整復術に引き続いて一期的に創外固定器を装着した.術後早期から自動,他動可動域訓練を行った結果,最終評価時の肘関節可動域の平均は屈伸125.8度,回内外166.6度で,JOA...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 160 - 165
Main Authors 千田, 博也, 上用, 祐士, 川口, 洋平, 犬飼, 智雄, 岡本, 秀貴, 野田, 陽平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2023
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.30.2_160

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Summary:重度肘関節外傷では強固な内固定を行うことが困難な骨折と,重篤な靭帯損傷を伴うことが稀ではなく,ギプス内での再脱臼,長期の外固定による関節拘縮や性急すぎる可動域訓練の結果生じる不安定性など様々な問題が生じうる.それに対し,ヒンジ付き創外固定器の使用が有用だったので報告する.対象はTerrible triad3例,肘関節脱臼骨折3例,経肘頭脱臼骨折3例,肘頭粉砕骨折2例,肘関節脱臼1例で,それぞれ骨接合術,靭帯縫合術,観血的脱臼整復術に引き続いて一期的に創外固定器を装着した.術後早期から自動,他動可動域訓練を行った結果,最終評価時の肘関節可動域の平均は屈伸125.8度,回内外166.6度で,JOAscoreは平均89.2点であった.早期から可動域訓練を開始することにより拘縮を防止し,また同時に良好な安定性を獲得することができ,極めて有用であった.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.30.2_160