稀な気管膜様部に発生した粘液貯留囊胞の一切除例

60歳代男性.人間ドックでCEA上昇を認め前医へ紹介.CTで気管膜様部に内腔へ突出する結節を指摘され,当院へ紹介.FDG-PETでは結節への集積は軽度であった.気管支鏡検査では粘膜下腫瘍の所見であり,針生検を施行したところ,囊胞壁のみで悪性所見はみられなかった.良性腫瘍が疑われたが,増大による気道狭窄のリスクを考慮し,切除の方針とした.術中所見では上縦隔に結節を認め,縦隔胸膜を切開すると,気管膜様部に固着する示指頭大の囊胞性病変を認めた.膜様部から慎重に剥離し,結節を摘出.剥離の際,膜様部に5 mm程の裂創を生じ,遊離心膜傍脂肪織による被覆閉鎖を行った.経過良好で術後7日で退院.病理組織診で粘...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 2; pp. 90 - 95
Main Authors 井田, 晃頌, 舘野, 裕紀乃, 牛久保, 陸生, 伊部, 崇史, 高坂, 貴行, 調, 憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.03.2025
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.39.90

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Summary:60歳代男性.人間ドックでCEA上昇を認め前医へ紹介.CTで気管膜様部に内腔へ突出する結節を指摘され,当院へ紹介.FDG-PETでは結節への集積は軽度であった.気管支鏡検査では粘膜下腫瘍の所見であり,針生検を施行したところ,囊胞壁のみで悪性所見はみられなかった.良性腫瘍が疑われたが,増大による気道狭窄のリスクを考慮し,切除の方針とした.術中所見では上縦隔に結節を認め,縦隔胸膜を切開すると,気管膜様部に固着する示指頭大の囊胞性病変を認めた.膜様部から慎重に剥離し,結節を摘出.剥離の際,膜様部に5 mm程の裂創を生じ,遊離心膜傍脂肪織による被覆閉鎖を行った.経過良好で術後7日で退院.病理組織診で粘液貯留囊胞の診断となった.貯留囊胞は腺組織の導管の閉塞により粘液が貯留し発生する.上気道などに発生するが,気管発生は稀である.膜様部に発生した貯留囊胞に対し,切除を行った症例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.39.90