Pagetoid spreadを伴う鼠径リンパ節転移陽性肛門管腺癌の1例
症例は72歳の男性で,肛門周囲の皮膚びらんを主訴に皮膚科を受診した.同部の生検の結果,免疫組織学的検査でCK7,CK20,CDX2いずれも陽性であるPaget細胞を表皮内に認めた.下部消化管内視鏡検査では下部直腸から肛門管に半周性の隆起性病変を認め,生検では中~高分化型腺癌であった.腹部CTでは両側鼠径リンパ節腫大を認め,pagetoid spread(以下PS)を伴う鼠径リンパ節転移陽性肛門管癌と診断した.術前に肛門周囲皮膚のmapping biopsyを行い,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術,D3リンパ節郭清,転移側鼠径リンパ節郭清術を行った.最終的な診断は直腸型腺癌(pap>tub1),...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 12; pp. 1707 - 1712 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2024
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.85.1707 |
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Summary: | 症例は72歳の男性で,肛門周囲の皮膚びらんを主訴に皮膚科を受診した.同部の生検の結果,免疫組織学的検査でCK7,CK20,CDX2いずれも陽性であるPaget細胞を表皮内に認めた.下部消化管内視鏡検査では下部直腸から肛門管に半周性の隆起性病変を認め,生検では中~高分化型腺癌であった.腹部CTでは両側鼠径リンパ節腫大を認め,pagetoid spread(以下PS)を伴う鼠径リンパ節転移陽性肛門管癌と診断した.術前に肛門周囲皮膚のmapping biopsyを行い,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術,D3リンパ節郭清,転移側鼠径リンパ節郭清術を行った.最終的な診断は直腸型腺癌(pap>tub1),pT1b,pN1b,pStage IIIaであった.術後は補助化学療法を行い,術後1年が経過した現在無再発生存中である.PSを伴う肛門管癌は比較的稀である.本邦報告83例の臨床病理学的特徴と治療を含め報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.85.1707 |