関節鏡視下手術を施行した弾発肘の1例

51歳,男性.1年前から特に誘引なく右肘痛と弾発現象を自覚し近医で保存加療するも改善せず当科紹介となった.右肘可動域は,回外(右75/左80)と軽度制限を認めたものの他特記所見なかった.また,前腕回内位,肘関節屈曲50°でクリックを認めた.単純 X 線像では異常を認めず,MRIでは腕橈関節に嵌頓するT2 lowな組織があった.弾発肘と診断し,手術を行った.関節鏡視下に腕橈関節に嵌入する輪状靭帯を確認した.肘関節屈伸を行い,輪状靭帯が嵌頓しなくなるまで部分切除した.本邦の弾発肘の原因は,92%が関節内の輪状靭帯の嵌頓や滑膜ひだ障害と報告されており,本症例は輪状靭帯が原因であった.鏡視下法は弾発の...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 381 - 382
Main Authors 亀田, 正裕, 菊地, 優貴, 小曽根, 和毅, 長田, 伝重, 都丸, 倫代, 中山, 健太朗, 高井, 盛光, 種市, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2023
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.30.2_381

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Summary:51歳,男性.1年前から特に誘引なく右肘痛と弾発現象を自覚し近医で保存加療するも改善せず当科紹介となった.右肘可動域は,回外(右75/左80)と軽度制限を認めたものの他特記所見なかった.また,前腕回内位,肘関節屈曲50°でクリックを認めた.単純 X 線像では異常を認めず,MRIでは腕橈関節に嵌頓するT2 lowな組織があった.弾発肘と診断し,手術を行った.関節鏡視下に腕橈関節に嵌入する輪状靭帯を確認した.肘関節屈伸を行い,輪状靭帯が嵌頓しなくなるまで部分切除した.本邦の弾発肘の原因は,92%が関節内の輪状靭帯の嵌頓や滑膜ひだ障害と報告されており,本症例は輪状靭帯が原因であった.鏡視下法は弾発の原因を直接確認しやすい利点がある一方,関節内灌流液の圧や肢位により嵌頓が解除されてしまう問題点があり慎重に対応する必要がある.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.30.2_381