高齢歯科患者における口腔不快症状の実態
口腔不快症状を訴える者は, 加齢と共に増加すると言われている。しかしながら, 口腔不快症状を主訴として来院する者の数は極めて少ない。日常生活における口腔不快症状の自覚症状は, 高齢者の全身状態と関係を有すると思われる。 今回, 我々は, 高齢歯科患者における口腔不快症状と既往疾患および常用薬物との関連を明らかにするために, 本学高齢者歯科外来を受診した者を対象に, 口腔不快症状について調査表に基づく聞き取り調査を行った。 調査の結果, 高齢者歯科外来を受診した者のうち, 116名中85名 (73.3%) が何らかの口腔不快症状を訴えた。このうち口腔不快症状を主訴として来院した者は, 116名中...
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Published in | 老年歯科医学 Vol. 16; no. 1; pp. 29 - 38 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
31.07.2001
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Subjects | |
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ISSN | 0914-3866 1884-7323 |
DOI | 10.11259/jsg1987.16.29 |
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Summary: | 口腔不快症状を訴える者は, 加齢と共に増加すると言われている。しかしながら, 口腔不快症状を主訴として来院する者の数は極めて少ない。日常生活における口腔不快症状の自覚症状は, 高齢者の全身状態と関係を有すると思われる。 今回, 我々は, 高齢歯科患者における口腔不快症状と既往疾患および常用薬物との関連を明らかにするために, 本学高齢者歯科外来を受診した者を対象に, 口腔不快症状について調査表に基づく聞き取り調査を行った。 調査の結果, 高齢者歯科外来を受診した者のうち, 116名中85名 (73.3%) が何らかの口腔不快症状を訴えた。このうち口腔不快症状を主訴として来院した者は, 116名中1名 (0.86%) であった。 今回, 何らかの全身疾患を合併していた者は口腔不快症状を訴える者が有意に多く, 何らかの常用薬を服用していた者は口腔不快症状を訴える傾向がみられた。また, 何らかの全身疾患を合併していた者あるいは何らかの常用薬を服用していた者は, 口腔乾燥感あるいは味覚の変化を訴える者が有意に多かった。 したがって, 歯科医療担当者としては, 全身疾患や常用薬を有する者への口腔不快症状についての配慮が必要であると思われた。 |
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ISSN: | 0914-3866 1884-7323 |
DOI: | 10.11259/jsg1987.16.29 |