非特異的な頭蓋形態を示したSagittal synostosisの治療例

今回,われわれは特異型鞍馬変形と短頭様の形態を呈したSagittal synostosisの症例を経験した.本来,Sagittal synostosisは長頭変形や舟状頭蓋を呈することが多く,稀に鞍馬状変形を呈することが知られている.縫合の前方のみ,後方のみ,あるいは全体に及んでいるかによって頭蓋の形状が異なる事は分かっているがその詳細はほとんど分かっていない.Albrigt and Byrdは14症例のSagittal synostosisについて,癒合部分としていない部分との組織学的研究を行った.その結果各症例ごとに閉鎖部位・開存部位があり,癒合の開始部位は縫合全長の中で一か所のみでありそ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in昭和医学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 506 - 511
Main Authors 加藤, 敏次, 佐藤, 兼重, 保阪, 善昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.12.2009
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:今回,われわれは特異型鞍馬変形と短頭様の形態を呈したSagittal synostosisの症例を経験した.本来,Sagittal synostosisは長頭変形や舟状頭蓋を呈することが多く,稀に鞍馬状変形を呈することが知られている.縫合の前方のみ,後方のみ,あるいは全体に及んでいるかによって頭蓋の形状が異なる事は分かっているがその詳細はほとんど分かっていない.Albrigt and Byrdは14症例のSagittal synostosisについて,癒合部分としていない部分との組織学的研究を行った.その結果各症例ごとに閉鎖部位・開存部位があり,癒合の開始部位は縫合全長の中で一か所のみでありその癒合開始部位は縫合のどこからも始まっていたと報告している.また癒合している範囲は手術(摘出時)年齢が遅くなるとともに広範囲になっていたとしている.すなわち,癒合開始と専門医受診の時期により頭蓋の形態は異なる事が示唆される.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma.69.506