抗悪性腫瘍薬Carboplatinの生殖に及ぼす影響(第3報) : ラットにおける周産期及び授乳期静脈内投与試験

抗悪性腫瘍薬carboplatinを1, 2及び4 mg/kg/日の割合で妊娠Crj: CD(SD)ラットに妊娠17日目より分娩後21日目まで反復静脈内投与し, 概略次の結果を得た. 1. 母獣(F0)の体重はcarboplatin 2mg/kg群で分娩後4から8日目に, 4mg/kg群で分娩後4から11日目に増加抑制がみられ, 摂餌量は4mg/kg群で分娩後1から7日目に対照群を下回った. 2. Carboplatin 2mg/kg以上の投与群で母獣(F0)の胸腺重量の減少と肺重量の増加, 4mg/kg群で卵巣重量の減少が認められた. 3. 新生仔(F1)の出生に対するcarboplatin...

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Published inThe Journal of Toxicological Sciences Vol. 13; no. SupplementII; pp. 63 - 81
Main Authors 高橋, 紀光, 石川, 克己, 門田, 利人, 近藤, 博志, 河村, 寿, 河野, 茂生, 甲斐, 修一, 黒柳, 幸司, 竹内, 友佳子, 太田, 敏, 酒井, 篤子, 近沢, 弘隆
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本毒性学会 1988
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ISSN0388-1350
1880-3989
DOI10.2131/jts.13.SupplementII_63

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Summary:抗悪性腫瘍薬carboplatinを1, 2及び4 mg/kg/日の割合で妊娠Crj: CD(SD)ラットに妊娠17日目より分娩後21日目まで反復静脈内投与し, 概略次の結果を得た. 1. 母獣(F0)の体重はcarboplatin 2mg/kg群で分娩後4から8日目に, 4mg/kg群で分娩後4から11日目に増加抑制がみられ, 摂餌量は4mg/kg群で分娩後1から7日目に対照群を下回った. 2. Carboplatin 2mg/kg以上の投与群で母獣(F0)の胸腺重量の減少と肺重量の増加, 4mg/kg群で卵巣重量の減少が認められた. 3. 新生仔(F1)の出生に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 4. 育成仔(F1)の生存率, 分化の状況, 初期行動発達, 学習能力, 運動性及び情動性に及ぼすcarboplatinの影響はみられなかった. 5. Carboplatin 4 mg/kg群の雄F1ラットで交配後の剖検において甲状腺重量, 雌F1ラットで離乳時の剖検において副腎及び生殖器重量の減少が認められたが, 生殖能に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 6. 妊娠F1ラットより得られた胎仔(F2)に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 以上のように, ラットの周産期及び授乳期に投与されたcarboplatinは2mg/kg以上の投与量で母獣の体重増加抑制, 胸腺重量の減少と肺重量の増加が認められ, 4mg/kgで母獣の摂餌量の減少と卵巣重量の減少, 交配後の剖検においてF1雄ラットの甲状腺重量の減少, 離乳時の剖検においてF1雌ラットの副腎及び生殖器重量の減少を誘起するが, F1ラットの機能, 行動的発達及び生殖能には影響を及ぼさないことが示唆された. 従って, 本試験におけるcarboplatinの無影響量は母動物に対しては1mg/kg/日, 次世代(F1)に対しては2mg/kg/日と考えられた.
ISSN:0388-1350
1880-3989
DOI:10.2131/jts.13.SupplementII_63