術後14年でS状結腸転移・肝転移をきたした脈絡膜悪性黒色腫の1例

症例は64歳,男性.2008年に右脈絡膜悪性黒色腫に対して,右眼球摘出術を施行された.再発なく経過し,フォローアップも終了となっていたが,2021年12月の左下肢閉塞性動脈硬化症に対する経皮的血管形成術の術前CTで骨盤内腫瘤を指摘された.小腸またはS状結腸の粘膜下腫瘍が疑われ,径は3cm未満であったため経過観察の方針となった.2022年4月のCTで増大傾向にあり,腫瘤内部の出血所見も認めたため,診断・治療目的に外科的切除を行った.腫瘍は黒色でS状結腸および膀胱と癒着しており,肝表面に複数の黒色腫瘤を認めた.結腸および膀胱を合併部分切除し,病理組織診にてS状結腸の転移性悪性黒色腫の診断となった....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 10; pp. 1450 - 1455
Main Authors 佐藤, 寿洋, 中村, 彩乃, 髙木, 健太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1450

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Summary:症例は64歳,男性.2008年に右脈絡膜悪性黒色腫に対して,右眼球摘出術を施行された.再発なく経過し,フォローアップも終了となっていたが,2021年12月の左下肢閉塞性動脈硬化症に対する経皮的血管形成術の術前CTで骨盤内腫瘤を指摘された.小腸またはS状結腸の粘膜下腫瘍が疑われ,径は3cm未満であったため経過観察の方針となった.2022年4月のCTで増大傾向にあり,腫瘤内部の出血所見も認めたため,診断・治療目的に外科的切除を行った.腫瘍は黒色でS状結腸および膀胱と癒着しており,肝表面に複数の黒色腫瘤を認めた.結腸および膀胱を合併部分切除し,病理組織診にてS状結腸の転移性悪性黒色腫の診断となった.肝腫瘤は後日EOB-MRIで悪性黒色腫の肝転移の診断となった.脈絡膜悪性黒色腫自体が稀な疾患であり,原発巣術後フォローアップ終了後に転移をきたした珍しい症例であるため報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1450