小腸穿孔を合併した小腸lipomatosisの1例
症例は55歳,男性,以前より反復する腹痛を認めていた.2021年6月,腹痛の増悪を主訴に当院を受診した.造影CTでは,回腸の拡張と腸管内に多発する低吸収腫瘤を認め,その周囲にfree airを認めた.小腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中拡張腸管に穿孔部を認め,小腸部分切除を行った.摘出標本では,腸管内に有茎性腫瘤が多発し,その中で最大径の腫瘤の基部が穿孔していた.顕微鏡的に,粘膜下には成熟した脂肪細胞の増生を認めた.以上の所見より,小腸lipomatosisによる小腸穿孔と診断した.術後経過は良好で無事退院し,現在術後2年,腹痛の再発は認めていない.小腸lipomatosisは稀な疾患で腸...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 10; pp. 1412 - 1416 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2024
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.85.1412 |
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Summary: | 症例は55歳,男性,以前より反復する腹痛を認めていた.2021年6月,腹痛の増悪を主訴に当院を受診した.造影CTでは,回腸の拡張と腸管内に多発する低吸収腫瘤を認め,その周囲にfree airを認めた.小腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中拡張腸管に穿孔部を認め,小腸部分切除を行った.摘出標本では,腸管内に有茎性腫瘤が多発し,その中で最大径の腫瘤の基部が穿孔していた.顕微鏡的に,粘膜下には成熟した脂肪細胞の増生を認めた.以上の所見より,小腸lipomatosisによる小腸穿孔と診断した.術後経過は良好で無事退院し,現在術後2年,腹痛の再発は認めていない.小腸lipomatosisは稀な疾患で腸重積での発症が多いが,穿孔で発症した症例は本邦で報告例がなく,若干の考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.85.1412 |