橈骨頭骨折・尺側側副靭帯損傷後の肘関節拘縮に対する拡散型圧力波療法により異所性骨化が増悪した一例

【はじめに】我々は橈骨頭骨折・尺側側副靭帯損傷後の肘関節拘縮に対してR-PWを用いた治療を行ったところ異所性骨化が増悪した症例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.転倒して右手をつき右肘痛が出現し,前医を受診して右橈骨頭骨折の診断となり,4週間の外固定の後,可動域訓練を開始した.受傷後8週時点で,右肘屈曲80度伸展-20度の関節拘縮と単純X線像にて肘関節内側のわずかな異所性骨化を認め当科紹介受診となった.可動域改善を目的にR-PWを用いた治療を開始したが,改善乏しくCTで異所性骨化の増悪を認め,肘部管症候群も合併していたため,骨化部摘出と関節授受動術及び尺骨神経皮下前方移動術を施行し改善...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 211 - 214
Main Authors 川島, 至, 岩堀, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2023
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Summary:【はじめに】我々は橈骨頭骨折・尺側側副靭帯損傷後の肘関節拘縮に対してR-PWを用いた治療を行ったところ異所性骨化が増悪した症例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.転倒して右手をつき右肘痛が出現し,前医を受診して右橈骨頭骨折の診断となり,4週間の外固定の後,可動域訓練を開始した.受傷後8週時点で,右肘屈曲80度伸展-20度の関節拘縮と単純X線像にて肘関節内側のわずかな異所性骨化を認め当科紹介受診となった.可動域改善を目的にR-PWを用いた治療を開始したが,改善乏しくCTで異所性骨化の増悪を認め,肘部管症候群も合併していたため,骨化部摘出と関節授受動術及び尺骨神経皮下前方移動術を施行し改善した.【考察】本症例ではわずかにあった異所性骨化がR-PWも一因となり増悪した可能性を考える.異所性骨化をわずかでも伴う関節拘縮例に対してR-PWを用いる時には異所性骨化の増悪に注意を要する.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.30.2_211