Optical coherence tomographyで超遅発性ステント血栓症を除外し得た1例

薬剤溶出性ステントの登場により, ステント血栓症の重要性が以前にも増して指摘されてきた. Academic Research Consortiumの定義が汎用されており非常に重要な指標であるが, それによりステント血栓症のすべてが正確に定義され理解できるわけではない. 生体内イメージングの進歩により, 以前のモダリティーのみでは理解できなかった病態が正確に把握できるようになってきた. 保険適応が承認されるようになり, 冠動脈病変の診断, 治療, そして病態解析にますます期待がかかる光干渉断層法(optical coherence tomography; OCT)を使用し, 急性冠症候群の病理を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 43; no. 3; pp. 389 - 392
Main Authors 吉岡, 徹, 久保, 典史, 阿古, 潤哉, 百村, 伸一, 船山, 大, 小林, 貴, 川上, 正舒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.389

Cover

More Information
Summary:薬剤溶出性ステントの登場により, ステント血栓症の重要性が以前にも増して指摘されてきた. Academic Research Consortiumの定義が汎用されており非常に重要な指標であるが, それによりステント血栓症のすべてが正確に定義され理解できるわけではない. 生体内イメージングの進歩により, 以前のモダリティーのみでは理解できなかった病態が正確に把握できるようになってきた. 保険適応が承認されるようになり, 冠動脈病変の診断, 治療, そして病態解析にますます期待がかかる光干渉断層法(optical coherence tomography; OCT)を使用し, 急性冠症候群の病理を理解することに非常に有用と考えられた症例を経験した. 症例は63歳, 女性. 9年前に前壁の急性心筋梗塞の診断で左冠動脈前下行枝(left anterior descending artery; LAD)にステント留置され, 今回, ステント留置部位より近位LADが原因部位の急性心筋梗塞を発症し, OCTにより遅発性のステント血栓症を除外し得た. OCTの使用により病態が把握でき, 治療にも役立つ症例があることから, 血管内超音波法(intravascular ultrasound; IVUS)のみでなくOCTを活用することは急性冠症候群を理解するうえで, 今後, さらに重要な点であると考えられるため, 報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.389