日本において生涯を通じて収集,蓄積される医療データの連続性および利用可能性

デジタル化に伴い,医療に関わるデータの収集,蓄積が進んでいる.一方で各データを時間的に連続的に,またデータ種別の観点から横断的に研究利用するに当たってはそれぞれさまざまな制約が存在する.妊娠,出生から死亡までの個人のライフコースの過程で収集,蓄積される医療データの連続性や利用可能性について,その現状と課題を把握し,今後のデータ利活用に向けた検討を深めることは重要である. 本研究では,個人のライフコースにおける出来事(イベント)に着目し,インターネット上に公開されている情報を元に調査と分析を行った.スコープとしては,日本の法制度,または国の政策のもとにデータが記録,収集,蓄積されているものに限定...

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Published in医療情報学 Vol. 44; no. 2; pp. 87 - 104
Main Authors 山本, 真季子, 大江, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 07.06.2024
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Summary:デジタル化に伴い,医療に関わるデータの収集,蓄積が進んでいる.一方で各データを時間的に連続的に,またデータ種別の観点から横断的に研究利用するに当たってはそれぞれさまざまな制約が存在する.妊娠,出生から死亡までの個人のライフコースの過程で収集,蓄積される医療データの連続性や利用可能性について,その現状と課題を把握し,今後のデータ利活用に向けた検討を深めることは重要である. 本研究では,個人のライフコースにおける出来事(イベント)に着目し,インターネット上に公開されている情報を元に調査と分析を行った.スコープとしては,日本の法制度,または国の政策のもとにデータが記録,収集,蓄積されているものに限定し,全国民に共通のもの,および特定の疾患,労災,介護の下で発生するものとした. その結果を①生涯のデータを連続的に保存すること,②生涯の医療データを個人の軸で紐付けすること,③それらのデータの研究目的での利用を許諾すること,の3つの観点で分析し,課題と制約を明確にした. 各出来事に対し,医療データを収集するための法制度や国の政策が整っている一方,生涯の医療データの連続的または横断的な利活用という観点では,個人のデータを紐付けする識別子やデータの連続的な管理など多数の課題と制約が明確になった.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.44.87