神経病性肘関節症に対して鏡視下滑膜切除術を施行した1例

緒言:神経病性肘関節症の基本は保存療法であるが,関節破壊が進行し関節水腫を伴うものでは手術療法も選択される.渉猟しうる限り鏡視下に手術を行った報告はなかった.今回われわれは,本疾患に対して関節腫脹改善目的に鏡視下手術を行った1例について報告する. 症例:41歳男性.左肘関節腫脹を主訴に当院を紹介受診.単純X線で腕頭関節の骨破壊,異所性骨化像を多数認めた.関節腫脹改善目的に鏡視下滑膜切除術を施行した.関節内は著明な滑膜増生と関節破壊が進行していた.術後4年の経過で関節破壊は進行し脱臼位となっているが,可動域と関節腫脹は徐々に改善し,ADL上の支障はない. 考察:本症例は関節破壊が進行している最中...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 159 - 162
Main Authors 古屋, 貫治, 田村, 将希, 神﨑, 浩二, 磯崎, 雄一, 西中, 直也, 木村, 亮介, 田鹿, 佑太朗, 辰尾, 秋斗, 大澤, 一誉, 鈴木, 昌, 尾﨑, 尚代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2021
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.28.2_159

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Summary:緒言:神経病性肘関節症の基本は保存療法であるが,関節破壊が進行し関節水腫を伴うものでは手術療法も選択される.渉猟しうる限り鏡視下に手術を行った報告はなかった.今回われわれは,本疾患に対して関節腫脹改善目的に鏡視下手術を行った1例について報告する. 症例:41歳男性.左肘関節腫脹を主訴に当院を紹介受診.単純X線で腕頭関節の骨破壊,異所性骨化像を多数認めた.関節腫脹改善目的に鏡視下滑膜切除術を施行した.関節内は著明な滑膜増生と関節破壊が進行していた.術後4年の経過で関節破壊は進行し脱臼位となっているが,可動域と関節腫脹は徐々に改善し,ADL上の支障はない. 考察:本症例は関節破壊が進行している最中であったが鏡視下手術を行った.術後も関節破壊は進行したため手術時期は議論の余地があるが,可動域と関節腫脹は軽快した.直視下手術よりも軟部組織侵襲が少ない鏡視下手術も選択肢の一つと考えられる.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.28.2_159