鼓室洞内進展真珠腫に対するretrofacial approachの経験

鼓室洞は、その外側に顔面神経が位置していることから、通常のアプローチでは直接観察することが困難な部位である。このため鼓室洞内に深く進展した真珠腫の完全摘出は困難な場合があり、鼓室洞は遺残性真珠腫を来しやすい部位として知られている。今回われわれは、癒着性中耳炎の術後に真珠腫が形成され、鼓室洞内へ深く進展していた症例を経験した。retrofacial approachにて乳突部より顔面神経の後内側から鼓室洞を開放することにより、鼓室洞内に進展した真珠腫を明視下におきながら確実に摘出することができた。術後顔面神経麻痺は認められず、また術後1年6カ月経過した時点で真珠腫の遺残を疑わせる所見も認めていな...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 51; no. 1; pp. 1 - 4
Main Authors 中島, 崇博, 清水, 順一, 松田, 圭二, 河野, 浩万, 小宗, 静男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.01.2005
Subjects
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.51.1_1

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Summary:鼓室洞は、その外側に顔面神経が位置していることから、通常のアプローチでは直接観察することが困難な部位である。このため鼓室洞内に深く進展した真珠腫の完全摘出は困難な場合があり、鼓室洞は遺残性真珠腫を来しやすい部位として知られている。今回われわれは、癒着性中耳炎の術後に真珠腫が形成され、鼓室洞内へ深く進展していた症例を経験した。retrofacial approachにて乳突部より顔面神経の後内側から鼓室洞を開放することにより、鼓室洞内に進展した真珠腫を明視下におきながら確実に摘出することができた。術後顔面神経麻痺は認められず、また術後1年6カ月経過した時点で真珠腫の遺残を疑わせる所見も認めていない。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.51.1_1