10年生存が得られている乳腺原発腺様囊胞癌・肺転移の1例

乳腺原発腺様囊胞癌は全乳癌の0.1%程度とされ,リンパ節転移や遠隔転移は非常に稀な組織型である.極めて予後良好とされながら,転移・再発例の報告も散見される.今回,術後5年で肺転移を切除,術後10年で新たな肺結節が出現するも,経過観察のみで長期生存が得られている乳腺原発腺様囊胞癌の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に前医を受診.精査の結果,右乳癌(腺様囊胞癌),cT2N0M0 cStage IIA,トリプルネガティブと診断した.乳房全切除術+腋窩リンパ節郭清(level I)ののち,術後補助化学療法を行った.術後5年で右肺上葉に結節が出現し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 12; pp. 1661 - 1665
Main Authors 山口, 歩子, 高橋, 絵梨子, 陰地, 真晃, 今井, 一博, 森菜, 緒子, 今野, ひかり, 南條, 博, 寺田, かおり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1661

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Summary:乳腺原発腺様囊胞癌は全乳癌の0.1%程度とされ,リンパ節転移や遠隔転移は非常に稀な組織型である.極めて予後良好とされながら,転移・再発例の報告も散見される.今回,術後5年で肺転移を切除,術後10年で新たな肺結節が出現するも,経過観察のみで長期生存が得られている乳腺原発腺様囊胞癌の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に前医を受診.精査の結果,右乳癌(腺様囊胞癌),cT2N0M0 cStage IIA,トリプルネガティブと診断した.乳房全切除術+腋窩リンパ節郭清(level I)ののち,術後補助化学療法を行った.術後5年で右肺上葉に結節が出現し,当院呼吸器外科を紹介受診.診断と治療を兼ね肺区域切除を施行,乳腺腺様囊胞癌・肺転移と診断された.当科で無治療経過観察中,術後10年に新規肺結節が出現したが,経過観察のみで増大なく,他臓器転移も認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1661