同種造血幹細胞移植を実施しない地方病院における,移植後の長期フォローアップ

当院が位置する北海道道東地域では同種造血幹細胞移植(以下,同種移植)を実施していないため,同種移植を他院へ依頼する。移植後フォローアップ(以下,LTFU)は当院で行う症例が多いが,非同種移植施設におけるLTFUのデータは存在しない。2015年から2022年の間に他院で同種移植を受け,当院のLTFU外来でフォローしている症例を後方視的に解析した。症例は48例で,年齢の中央値は48歳だった。移植後の観察期間の中央値は2.4年で,移植後2年でのOSは65.9%,EFSは57.6%だった。慢性GVHDの累積発症率は2年で38.3%だった。死亡例は原病による死亡が5例,非再発死亡が11例だった。非再発死...

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Published in日本造血・免疫細胞療法学会雑誌 Vol. 12; no. 4; pp. 268 - 273
Main Authors 相庭, 昌之, 重松, 明男, 鈴木, 陶磨, 宮城島, 拓人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会 2023
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Summary:当院が位置する北海道道東地域では同種造血幹細胞移植(以下,同種移植)を実施していないため,同種移植を他院へ依頼する。移植後フォローアップ(以下,LTFU)は当院で行う症例が多いが,非同種移植施設におけるLTFUのデータは存在しない。2015年から2022年の間に他院で同種移植を受け,当院のLTFU外来でフォローしている症例を後方視的に解析した。症例は48例で,年齢の中央値は48歳だった。移植後の観察期間の中央値は2.4年で,移植後2年でのOSは65.9%,EFSは57.6%だった。慢性GVHDの累積発症率は2年で38.3%だった。死亡例は原病による死亡が5例,非再発死亡が11例だった。非再発死亡のうち8例が慢性GVHDを合併し,8例全例で全身ステロイド治療が必要だった。移植後合併症の対応や生活支援のため,今後は非移植施設においても多職種や移植施設と連携したLTFU体制の構築が望まれる。
ISSN:2436-455X
DOI:10.7889/tct-23-020