肘関節周辺骨折術後に生じた亜急性尺骨神経障害6例

肘関節周辺の外傷や術後に亜急性な経過で尺骨神経障害(delayed-onset ulnar neuropathy,以下DOUN)が生じる病態が知られている.今回,術後DOUNを生じた6症例について全例に追加手術を施行したので,病態,手術所見を検討した.男性3例,女性3例,受傷内容は肘頭骨折が3例,上腕骨顆上骨折が2例,肘関節脱臼骨折が1例であった.初回手術時,3例に内側上顆周辺において尺骨神経の剥離を行った.DOUNは術後平均56日で発症し,神経伝導速度検査を実施した5例において肘部管で速度遅延を認めた.追加手術時に偽神経腫を2例に認めた.3例に皮下前方移行を,3例にosborne靱帯切離を含...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 25; no. 2; pp. 189 - 192
Main Authors 岡本, 道雄, 難波, 二郎, 山本, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2018
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:肘関節周辺の外傷や術後に亜急性な経過で尺骨神経障害(delayed-onset ulnar neuropathy,以下DOUN)が生じる病態が知られている.今回,術後DOUNを生じた6症例について全例に追加手術を施行したので,病態,手術所見を検討した.男性3例,女性3例,受傷内容は肘頭骨折が3例,上腕骨顆上骨折が2例,肘関節脱臼骨折が1例であった.初回手術時,3例に内側上顆周辺において尺骨神経の剥離を行った.DOUNは術後平均56日で発症し,神経伝導速度検査を実施した5例において肘部管で速度遅延を認めた.追加手術時に偽神経腫を2例に認めた.3例に皮下前方移行を,3例にosborne靱帯切離を含めた神経剥離術を施行し,全例症状は消失した.DOUNは出血などにより生じた瘢痕組織と尺骨神経が癒着,靱帯が肥厚し,神経が牽引もしくは絞扼されることで生じると考えられた.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.25.2_189