食道裂孔ヘルニアによる逆流性食道炎経過観察中に発生した早期食道胃境界部領域癌の1例

症例は68歳女性。固形物のつかえ感,心窩部痛を主訴に来院。上部消化管内視鏡検査で,滑脱型食道裂孔ヘルニアと随伴する逆流性食道炎を認めた。その後定期的に経過観察していたが,5年後の検査時に食道胃接合部の2°,10°方向に大小の表面粗糙で発赤調の小隆起を認めた。1カ月後,2°方向の病変は消失したが,10°方向の病変は残存し,生検で中分化型腺癌を認め,Ⅱc型早期食道胃境界部領域癌と診断し,外科的手術を施行した。本邦では,食道裂孔ヘルニアと早期食道胃境界部領域癌の合併例の報告は少なく,経過観察中に発症したとの報告例も少ない。食道裂孔ヘルニアが食道,胃噴門部癌発生の一因となることも示唆され,長期にわたる...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy Vol. 46; pp. 94 - 96
Main Authors 笠島, 武, 今里, 雅之, 林, 俊之, 亀山, 健三郎, 田中, 精一, 田中, 良基, 林, 恒男, 木村, 裕恵, 曽我, 直弘, 武雄, 康悦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 16.06.1995
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0389-9403
0389-9403
DOI10.11641/pdensks.46.0_94

Cover

More Information
Summary:症例は68歳女性。固形物のつかえ感,心窩部痛を主訴に来院。上部消化管内視鏡検査で,滑脱型食道裂孔ヘルニアと随伴する逆流性食道炎を認めた。その後定期的に経過観察していたが,5年後の検査時に食道胃接合部の2°,10°方向に大小の表面粗糙で発赤調の小隆起を認めた。1カ月後,2°方向の病変は消失したが,10°方向の病変は残存し,生検で中分化型腺癌を認め,Ⅱc型早期食道胃境界部領域癌と診断し,外科的手術を施行した。本邦では,食道裂孔ヘルニアと早期食道胃境界部領域癌の合併例の報告は少なく,経過観察中に発症したとの報告例も少ない。食道裂孔ヘルニアが食道,胃噴門部癌発生の一因となることも示唆され,長期にわたる定期的な経過観察の必要性とともに,興味ある内視鏡像を呈した症例と考え報告した。
ISSN:0389-9403
0389-9403
DOI:10.11641/pdensks.46.0_94