外傷性肘関節脱臼骨折における内側側副靱帯の損傷様態

肘関節脱臼骨折における内側側副靱帯損傷様態は画一ではなく,受傷メカニズムとの関連も不明である.今回,同外傷16肘の内側側副靱帯(以下MCL)損傷様態を評価し,両側側副靱帯の残存機能,経肘頭脱臼骨折の合併の有無から脱臼方向を推定した.そしてMCL損傷様態及び前斜走線維(以下AOL)の断裂部位と推定脱臼方向,またTTIの有無とMCL損傷様態との間の関連について検討した.その結果,後外側8肘,後内側3肘,前方1肘,後方1肘,不明3肘で今谷の分類Ⅰ型9肘,Ⅱ型2肘,分類不能5肘,TTIを4肘に認め,上記設定の間に関連を認めた.即ち,推定脱臼方向が後外側の場合,MCLは近位部で断裂し,後内側の場合,AO...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 24; no. 2; pp. 209 - 211
Main Authors 岡本, 道雄, 難波, 二郎, 山本, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2017
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Summary:肘関節脱臼骨折における内側側副靱帯損傷様態は画一ではなく,受傷メカニズムとの関連も不明である.今回,同外傷16肘の内側側副靱帯(以下MCL)損傷様態を評価し,両側側副靱帯の残存機能,経肘頭脱臼骨折の合併の有無から脱臼方向を推定した.そしてMCL損傷様態及び前斜走線維(以下AOL)の断裂部位と推定脱臼方向,またTTIの有無とMCL損傷様態との間の関連について検討した.その結果,後外側8肘,後内側3肘,前方1肘,後方1肘,不明3肘で今谷の分類Ⅰ型9肘,Ⅱ型2肘,分類不能5肘,TTIを4肘に認め,上記設定の間に関連を認めた.即ち,推定脱臼方向が後外側の場合,MCLは近位部で断裂し,後内側の場合,AOLは遠位部で断裂しPOLは正常を保つか近位部で断裂すると考える.またTTI症例において全例AOLは遠位部で断裂していた.MCL損傷の評価は脱臼方向を予見し,TTIの受傷メカニズム解明の一助となる.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.24.2_209