耳下腺導管の著しい拡張症例

耳下腺の導管, すなわちステノン氏管が拡張する疾患は導管炎, 唾石症においてみられるが, この度, ステノン氏管が限局的に著しく拡張した疾患を経験したので報告した. 症例は45歳の女性で,食事の際に右側の頬部が腫れることを主訴とした. その腫脹は, 安静時には認められない. 導管開口部が極めて小さく, 耳下線造影に多大の困難を伴つたが, 得られた造影像より, 導管の著しい拡張を認めた. 唾石などは認められず, 導管の開口部の狭窄が原因の一つと考え, 口腔内より導管の拡張術を施行した. 術後, 食事に際しての頬部の腫れは消失した. 本疾患は, 総胆管嚢腫に類似することより, ステノン氏管嚢腫と命...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 43; no. 1; pp. 1 - 4
Main Authors 稲村, 達哉, 松本, あゆみ, 井野, 千代徳, 山脇, 利朗, 山下, 敏夫, 加藤, 真子, 岸本, 麻子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.01.1997
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.43.1_1

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Summary:耳下腺の導管, すなわちステノン氏管が拡張する疾患は導管炎, 唾石症においてみられるが, この度, ステノン氏管が限局的に著しく拡張した疾患を経験したので報告した. 症例は45歳の女性で,食事の際に右側の頬部が腫れることを主訴とした. その腫脹は, 安静時には認められない. 導管開口部が極めて小さく, 耳下線造影に多大の困難を伴つたが, 得られた造影像より, 導管の著しい拡張を認めた. 唾石などは認められず, 導管の開口部の狭窄が原因の一つと考え, 口腔内より導管の拡張術を施行した. 術後, 食事に際しての頬部の腫れは消失した. 本疾患は, 総胆管嚢腫に類似することより, ステノン氏管嚢腫と命名した.
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.43.1_1