病院情報システムの利用者支援機能の病院間での差異に起因するリスクの予防的な対策検討を支援するための汎用的な手法の提案

病院情報システムに導入されている様々な利用者支援機能は病院間で動作が異なることが多い.そのため,他病院から入職した医療スタッフ(以下,当該者)による前任地の病院のものと動作が異なる利用者支援機能の利用が,勘違いによる医療安全のリスク要因(以下,差異のリスク)となる可能性がある.それに対して,筆者らは差異のリスクを系統的に把握する手法を提案した.しかし,当該者ごとに前・現病院の利用者支援機能を比較する必要があったので,当該者が増えると差異のリスクの把握が現実的に困難になる弱点があった. そこで,本研究では自病院の利用者支援機能の実装状況だけから差異のリスクの把握と対策の必要性の判断を支援する,次...

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Published in医療情報学 Vol. 44; no. 2; pp. 55 - 68
Main Authors 津久間, 秀彦, 太田原, 顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 07.06.2024
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Summary:病院情報システムに導入されている様々な利用者支援機能は病院間で動作が異なることが多い.そのため,他病院から入職した医療スタッフ(以下,当該者)による前任地の病院のものと動作が異なる利用者支援機能の利用が,勘違いによる医療安全のリスク要因(以下,差異のリスク)となる可能性がある.それに対して,筆者らは差異のリスクを系統的に把握する手法を提案した.しかし,当該者ごとに前・現病院の利用者支援機能を比較する必要があったので,当該者が増えると差異のリスクの把握が現実的に困難になる弱点があった. そこで,本研究では自病院の利用者支援機能の実装状況だけから差異のリスクの把握と対策の必要性の判断を支援する,次の3つの要素で構成される新たな手法を提案した.(1) 当該者が現病院の利用者支援機能を適切に認識しない場合のリスクを把握するための枠組み.(2) 当該者が差異に気づきにくい場合に対策検討の必要性を判断するための枠組み.(3) (1)と(2)を用いて,「リスク検討担当者が対策の必要性を判断する作業」を体系的に支援するための枠組み.さらに,過去に学会発表された6種類の利用者支援機能に提案手法を適用した結果,その実用性が示唆された.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.44.55