総胆管に発生した巨細胞腫の1例
症例は76歳の女性で,平成19年1月褐色尿を自覚し来院した.精査の結果,高ビリルビン血症および総胆管腫瘤,総胆管の拡張を指摘された.ERCPにても中部胆管に造影欠損を認め総胆管腫瘍が疑われた.CEAは7.4 ng/ml,CA19-9は40.9 U/mlとともに軽度上昇を認めた.胆汁細胞診,ERCP時の胆管擦過細胞診の結果はClass IIIであったが,胆管癌の可能性があり,手術を施行した.術中超音波検査にて茎を持つ胆管内に発育する3 cm大の腫瘍を認めた.術中迅速診断の結果,低悪性度の間葉系腫瘍であったため,胆管切除術,胆嚢摘出術,胆管空腸吻合術を施行した.術後,病理組織学的検査の結果,巨細胞...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 50 - 54 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.01.2010
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.43.50 |
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Summary: | 症例は76歳の女性で,平成19年1月褐色尿を自覚し来院した.精査の結果,高ビリルビン血症および総胆管腫瘤,総胆管の拡張を指摘された.ERCPにても中部胆管に造影欠損を認め総胆管腫瘍が疑われた.CEAは7.4 ng/ml,CA19-9は40.9 U/mlとともに軽度上昇を認めた.胆汁細胞診,ERCP時の胆管擦過細胞診の結果はClass IIIであったが,胆管癌の可能性があり,手術を施行した.術中超音波検査にて茎を持つ胆管内に発育する3 cm大の腫瘍を認めた.術中迅速診断の結果,低悪性度の間葉系腫瘍であったため,胆管切除術,胆嚢摘出術,胆管空腸吻合術を施行した.術後,病理組織学的検査の結果,巨細胞腫と診断された.術後再発なく経過している.肝外胆管に発生した巨細胞腫は過去5例しか報告されておらず極めてまれな症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.43.50 |