腹腔鏡下修復術を行った胸腔内感染大網充填後横隔膜ヘルニアの1例

症例は70歳の男性.ペースメーカーのリード感染による心嚢内膿瘍に対して,9年前に他院で膿瘍掻爬,大網充填術が行われた既往がある.食思不振,嘔気,嘔吐を主訴に前医を受診し,精査加療目的に当院へ紹介となった.CTでは左横隔膜陰影が断裂しており,同部位から胃が胸腔内に陥入していた.上部消化管造影検査ではupside down stomachを認め,十二指腸への造影剤流出は認めたが,胃内で停滞貯留していた.以上より左横隔膜ヘルニアと診断し,腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.術中所見では,ヘルニア門は大網貫通部から離れて左側にあり,5×5cmの大きさであった.胃や大網など胃周囲組織と胸腔内臓器の癒着は認...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 11; pp. 2218 - 2224
Main Authors 吉田, 雄亮, 佐藤, 暢人, 飯村, 泰昭, 長谷川, 直人, 七戸, 俊明, 平野, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:症例は70歳の男性.ペースメーカーのリード感染による心嚢内膿瘍に対して,9年前に他院で膿瘍掻爬,大網充填術が行われた既往がある.食思不振,嘔気,嘔吐を主訴に前医を受診し,精査加療目的に当院へ紹介となった.CTでは左横隔膜陰影が断裂しており,同部位から胃が胸腔内に陥入していた.上部消化管造影検査ではupside down stomachを認め,十二指腸への造影剤流出は認めたが,胃内で停滞貯留していた.以上より左横隔膜ヘルニアと診断し,腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.術中所見では,ヘルニア門は大網貫通部から離れて左側にあり,5×5cmの大きさであった.胃や大網など胃周囲組織と胸腔内臓器の癒着は認めなかった.ヘルニア門を形成する横隔膜に脆弱性は認めず,直接縫合で閉鎖した.術後54カ月が経過したが,再発は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2218