胃静脈瘤に対するHassab手術成績の検討

教室において胃静脈瘤単独症例28例に対して行ったHassab手術の成績を検討した.手術死亡はChild Cの1例のみで, その他の症例では静脈瘤の占居部位や供血路の如何を問わず, 全例術後1カ月目の内視鏡で胃静脈瘤は消失し, その後も再発は認めていない.また2例で術後食道静脈瘤の発生をみたが, いずれも軽度で1例は内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS), 1例は経過観察で出血例はなかった.さらに術後に脾機能亢進症, 肝性脳症の改善と, 一部肝機能の改善を認めた例もあった.食道静脈瘤に比して胃静脈瘤は発生頻度や破裂出血は低いものの, 一旦出血を来すとその量も多く, また静脈瘤の占居部位や供血路に...

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Published in日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌 Vol. 4; no. 3; pp. 235 - 240
Main Authors 児島, 邦明, 別府, 倫兄, 二川, 俊二, 中西, 亮, 深沢, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 15.10.1998
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ISSN1341-6375
2187-1213
DOI10.11423/jsph1995.4.3_235

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Summary:教室において胃静脈瘤単独症例28例に対して行ったHassab手術の成績を検討した.手術死亡はChild Cの1例のみで, その他の症例では静脈瘤の占居部位や供血路の如何を問わず, 全例術後1カ月目の内視鏡で胃静脈瘤は消失し, その後も再発は認めていない.また2例で術後食道静脈瘤の発生をみたが, いずれも軽度で1例は内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS), 1例は経過観察で出血例はなかった.さらに術後に脾機能亢進症, 肝性脳症の改善と, 一部肝機能の改善を認めた例もあった.食道静脈瘤に比して胃静脈瘤は発生頻度や破裂出血は低いものの, 一旦出血を来すとその量も多く, また静脈瘤の占居部位や供血路によって治療法を選択しなければならず, 各治療法の安全性や確実性に必ずしも意見の統一をみていない現段階では, とくに短期間に出血を来すことの多いEIS後胃静脈瘤遺残・発生例も含め, 予防的治療法としてHassab手術は有用であると考えられた.
ISSN:1341-6375
2187-1213
DOI:10.11423/jsph1995.4.3_235