電流遮断法過渡応答解析を用いたリチウムイオン二次電池のサイクル劣化の分析
商用の有機電解液系リチウムイオン二次電池の電流遮断時の過渡応答を2段分布定数回路の解析関数を用いて解析した結果とサイクル劣化試験による容量劣化の相関について検討した。サイクル劣化は充放電サイクル数よりも経過時間で整理したほうがよく、容量劣化率は充電側上限SOCに依存し、SOC = 0~70 %、0~90 %の容量劣化率は時間に対してあまり違いがないが、SOC = 0~100 %では容量劣化率が増加した。電流遮断時の過渡応答解析では、iRジャンプ及び活物質合剤電極部の過電圧はSOC = 50 %充電、100 %充電、50 %放電に対して違いはわずかであったが、SOC = 0 %放電時のiRジャン...
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Published in | 科学・技術研究 Vol. 11; no. 2; pp. 101 - 108 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
科学・技術研究会
2022
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Summary: | 商用の有機電解液系リチウムイオン二次電池の電流遮断時の過渡応答を2段分布定数回路の解析関数を用いて解析した結果とサイクル劣化試験による容量劣化の相関について検討した。サイクル劣化は充放電サイクル数よりも経過時間で整理したほうがよく、容量劣化率は充電側上限SOCに依存し、SOC = 0~70 %、0~90 %の容量劣化率は時間に対してあまり違いがないが、SOC = 0~100 %では容量劣化率が増加した。電流遮断時の過渡応答解析では、iRジャンプ及び活物質合剤電極部の過電圧はSOC = 50 %充電、100 %充電、50 %放電に対して違いはわずかであったが、SOC = 0 %放電時のiRジャンプは1.7倍、合剤電極部の過電圧は6倍程度大きな値となった。合剤電極部の過電圧は容量劣化とともに増大するという仮説に反して減少する傾向がみられたが、iRジャンプはサイクル数とともに増加したが、iRジャンプの逆数としてのコンダクタンスは劣化の進行とともに直線的に減少した。容量劣化率との相関はiRジャンプのコンダクタンスと線形の関係で相関が高く、iRジャンプのコンダクタンスが初期の半分になると容量劣化率は25%程度になった。一方、合剤電極部の過電圧及びコンダクタンスとは無相関であった。これらの結果から、BMSとしての管理項目はiRジャンプのコンダクタンスを採用することが簡便で高精度になると結論できた。 |
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ISSN: | 2186-4942 2187-1590 |
DOI: | 10.11425/sst.11.101 |