竹内和航論文に対するEditorial Comment 不整脈によって診断される心サルコイドーシス
サルコイドーシスは, 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の形成を特徴とする全身性疾患である. 過敏性免疫反応が病因と考えられているが, その詳細な発症機序は不明である. 典型的な全身性サルコイドーシスは, 肺門部リンパ節腫脹, 皮膚, 眼症状で発症するが, 一般にその進行は緩徐で, 自然寛解も多いとされ, 予後は比較的良好である. しかし, 病変が心筋に及ぶと病態は重篤になる. 心サルコイドーシスは, 進行性の心室収縮不全や刺激伝導系の障害を引き起こし, それが致死的になる場合もある. 心ブロックの原因としての心サルコイドーシスの関与は必ずしも明らかではないが, 剖検例の検討によれば, 死亡前に房室ブロ...
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Published in | 心臓 Vol. 43; no. 11; p. 1472 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
日本心臓財団 |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.1472 |
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Summary: | サルコイドーシスは, 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の形成を特徴とする全身性疾患である. 過敏性免疫反応が病因と考えられているが, その詳細な発症機序は不明である. 典型的な全身性サルコイドーシスは, 肺門部リンパ節腫脹, 皮膚, 眼症状で発症するが, 一般にその進行は緩徐で, 自然寛解も多いとされ, 予後は比較的良好である. しかし, 病変が心筋に及ぶと病態は重篤になる. 心サルコイドーシスは, 進行性の心室収縮不全や刺激伝導系の障害を引き起こし, それが致死的になる場合もある. 心ブロックの原因としての心サルコイドーシスの関与は必ずしも明らかではないが, 剖検例の検討によれば, 死亡前に房室ブロックを呈した症例の30%に心サルコイドーシスを疑う組織所見が認められたとする報告もある. また, 心サルコイドーシスは, 心筋傷害を背景とした心室頻拍を発症する場合があることも知られている. これらの病態は早期のステロイド治療によって寛解する場合もあるため, 心サルコイドーシスでは早期の診断が重要である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.1472 |