夫婦が親チームとなっていくプロセス:幼児期の子どもを持つ夫婦を対象とした質的研究

本研究では夫婦がチームとして育児家事を分担していく相互影響過程を明らかにすることを目的に,幼児期の子どもを持つ夫婦21組を対象に半構造化面接を行った。修正版グラウンデッドセオリー法を用いて検討した結果,夫婦が【子の誕生前後の家庭観】を持ちつつ【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】を行う中で,【思い通りにいかないことが出て】きたり,そのことによって【お互いに察してほしいの悪循環】になったりしつつも,【葛藤に対処し】,徐々に【親チームになっていく】過程が明らかとなった。この結果から夫婦間の相互作用において,夫婦は【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】や【葛藤に対処する】という関係内の肯定的側面と【思い通り...

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Published in発達心理学研究 Vol. 33; no. 1; pp. 25 - 39
Main Authors 鈴木, 佳奈, 西村, 太志, 大島, 聖美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本発達心理学会 2022
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ISSN0915-9029
2187-9346
DOI10.11201/jjdp.33.25

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Summary:本研究では夫婦がチームとして育児家事を分担していく相互影響過程を明らかにすることを目的に,幼児期の子どもを持つ夫婦21組を対象に半構造化面接を行った。修正版グラウンデッドセオリー法を用いて検討した結果,夫婦が【子の誕生前後の家庭観】を持ちつつ【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】を行う中で,【思い通りにいかないことが出て】きたり,そのことによって【お互いに察してほしいの悪循環】になったりしつつも,【葛藤に対処し】,徐々に【親チームになっていく】過程が明らかとなった。この結果から夫婦間の相互作用において,夫婦は【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】や【葛藤に対処する】という関係内の肯定的側面と【思い通りにいかないことが出てくる】や【お互いに察してほしいの悪循環】といった否定的側面を行き来しつつ,肯定的側面が否定的側面を上回る時,【親チームとなっていく】ことが示唆された。最後に先行研究と本研究の共通点や相違点について議論した。
ISSN:0915-9029
2187-9346
DOI:10.11201/jjdp.33.25