家族性副甲状腺機能亢進症(FHPT)における術後長期経過の検討

MEN1 型,2 型はいずれも病変の一つに副甲状腺病変を伴う.以前より我々はMEN における副甲状腺機能亢進症とさらに家族性孤立性副甲状腺機能亢進症(familiar isolated hyperparathyroidism ; FIHPT)をふくめた家族性副甲状腺機能亢進症(familial hyperparathyroidism ; FHPT)例につき報告してきたが,今回は術後の長期経過観察の結果について報告する.対象は当科でFHPT として手術を施行し,1 年以上経過した19 例(12 家系)である.その内訳はMEN1 型が13 例(8 家系),MEN2 型 2 例(2 家系),FIHP...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 5; no. 2; pp. 82 - 88
Main Authors 鈴木, 眞一, 福島, 俊彦, 鈴木, 興太, 中野, 恵一, 関川, 浩司, 旭, 修司, 河原, 正典, 竹之下, 誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2005
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.5.2_82

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Summary:MEN1 型,2 型はいずれも病変の一つに副甲状腺病変を伴う.以前より我々はMEN における副甲状腺機能亢進症とさらに家族性孤立性副甲状腺機能亢進症(familiar isolated hyperparathyroidism ; FIHPT)をふくめた家族性副甲状腺機能亢進症(familial hyperparathyroidism ; FHPT)例につき報告してきたが,今回は術後の長期経過観察の結果について報告する.対象は当科でFHPT として手術を施行し,1 年以上経過した19 例(12 家系)である.その内訳はMEN1 型が13 例(8 家系),MEN2 型 2 例(2 家系),FIHPT 4 例(2 家系)である.平均観察期間は59 カ月(12 〜51カ月)である.過形成は11 例(うち1 例は過剰腺部が再発癌化している),腺腫8 例である.遺伝子検査施行例は16 例である.全例現在まで当科外来でフォローアップされている.結果;術後2 例が死亡(1 例はガストリノーマ,1 例は事故死)し,他の17 例は生存中である.副甲状腺病変の再発を認めたものは過剰腺症例の1 例である.また,腺腫例では1 例も再発を認めていない.経過中にMEN の他臓器病変の発症を認めたものは1 例で,プロラクチノーマと副腎病変(AIMAH)を発症し薬物療法と外科手術で軽快している.5 腺以上の過剰腺症例は3 例あり,うち2 例は4 腺切除のまま90 カ月以上を経てもCa,PTH ともに正常である.未婚者5 例中,手術後の結婚例は未だないものの,既婚者では術後に第2 子を出産した例が1 例ある.遺伝子検査拒否の3 例での遺伝子検査施行の希望はいまのところない.術直後の家系調査以外ではその後家系内での発症は認めていない.以上,当科におけるFHPT 例の術後長期経過観察につき検討したが,他の内分泌臓器への発病も極めて少なく,また新たな家系内発症もなく,本疾患の経過は比較的緩やかであることがうかがえた.今後はさらに長い視点でのフォローを行わなければならないと考えている.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.5.2_82