日本株式市場における資産評価モデルのGRS検定に関する一考察

資産評価モデルの妥当性をGRS検定から検証する際,米国株式市場では企業特性に基づくポートフォリオをモデルのファクターで回帰分析すると切片項が小さくなりモデルが採択されやすいバイアスが生じるため,ポートフォリオをクラスター分析で構築すべきとの指摘がある.日本株式市場では,クラスター分析を採用したポートフォリオの方が,決定係数が低くなる影響からモデルは採択されやすくなる結果を得た.この背景をシミュレーション実験により検討したところ,GRS検定は切片項と決定係数の相対的な程度に依存するため,モデルの妥当性を検証するには切片項の平均や決定係数の大きさを個別に確認するなど,GRS検定を補う視点の必要性が...

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Published in日本経営工学会論文誌 Vol. 64; no. 1; pp. 75 - 84
Main Authors 竹俣, 潤, 宮﨑, 浩一, 小林, 寛司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本経営工学会 2013
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Summary:資産評価モデルの妥当性をGRS検定から検証する際,米国株式市場では企業特性に基づくポートフォリオをモデルのファクターで回帰分析すると切片項が小さくなりモデルが採択されやすいバイアスが生じるため,ポートフォリオをクラスター分析で構築すべきとの指摘がある.日本株式市場では,クラスター分析を採用したポートフォリオの方が,決定係数が低くなる影響からモデルは採択されやすくなる結果を得た.この背景をシミュレーション実験により検討したところ,GRS検定は切片項と決定係数の相対的な程度に依存するため,モデルの妥当性を検証するには切片項の平均や決定係数の大きさを個別に確認するなど,GRS検定を補う視点の必要性が示唆された.
ISSN:1342-2618
2187-9079
DOI:10.11221/jima.64.75