維持透析患者の運動能力低下に至る要因と転倒との関連性
【目的】透析患者の運動能力低下に至る障害構造モデルを構築し転倒との関連を明らかにする。【方法】維持透析患者329 例に対し,背景因子の調査,身体機能と運動能力の測定を横断的に実施し,パス解析にて運動能力低下に至るモデルの適合度を検証した。また,同一患者に対して転倒の有無を前向きに追跡し,転倒に対する運動能力低下の危険性を検討した。【結果】高齢化,透析期間の長期化,炎症状態といった疾患背景が間接的に,また低栄養状態,筋肉量低下,筋力低下,歩行の動揺性を増大させ直接的に運動能力の低下に関与した(χ2 = 11.782,CMIN/DF = 0.982,GFI =0.99,CFI = 1.000,RM...
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Published in | 理学療法学 Vol. 44; no. 4; pp. 255 - 262 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.08.2017
日本理学療法士協会 |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.11233 |
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Summary: | 【目的】透析患者の運動能力低下に至る障害構造モデルを構築し転倒との関連を明らかにする。【方法】維持透析患者329 例に対し,背景因子の調査,身体機能と運動能力の測定を横断的に実施し,パス解析にて運動能力低下に至るモデルの適合度を検証した。また,同一患者に対して転倒の有無を前向きに追跡し,転倒に対する運動能力低下の危険性を検討した。【結果】高齢化,透析期間の長期化,炎症状態といった疾患背景が間接的に,また低栄養状態,筋肉量低下,筋力低下,歩行の動揺性を増大させ直接的に運動能力の低下に関与した(χ2 = 11.782,CMIN/DF = 0.982,GFI =0.99,CFI = 1.000,RMSEA < 0.001)。そして,運動能力低下は転倒の独立した危険因子であった。【結論】障害構造モデルの観測変数に着目することは,透析患者の理学療法臨床推論を進め転倒を予測するうえで有用と示唆された。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.11233 |