名古屋市における過去に犯罪をした者への支援の実態と課題――再犯防止推進計画策定にかかる事例調査の結果から

名古屋市は2017年に法務省が実施する地域再犯防止推進モデル事業に取り組む地方公共団体の一つとして選定された.翌年には事業実施にあたり,市内で福祉や保健などの支援を行う92機関を対象に,2015年度から2017年度の間,万引きや窃盗,詐欺などの逮捕歴がある者を支援した経験の有無,再犯の有無などを尋ねる調査を行った.結果,92機関のうち59機関(67.0%)が調査対象に該当する者の支援を経験しており,報告のあった201事例の26.9%に支援中の再犯が確認された.支援者が感じた課題としては,本人に関すること,本人の家族に関すること,支援機関に関すること,再犯防止など4事項18種が確認できた.今後は...

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Published in社会福祉学 Vol. 64; no. 4; pp. 56 - 69
Main Authors 湯原, 悦子, 掛川, 直之, 斉藤, 雅茂, 山田, 壮志郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉学会 29.02.2024
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Summary:名古屋市は2017年に法務省が実施する地域再犯防止推進モデル事業に取り組む地方公共団体の一つとして選定された.翌年には事業実施にあたり,市内で福祉や保健などの支援を行う92機関を対象に,2015年度から2017年度の間,万引きや窃盗,詐欺などの逮捕歴がある者を支援した経験の有無,再犯の有無などを尋ねる調査を行った.結果,92機関のうち59機関(67.0%)が調査対象に該当する者の支援を経験しており,報告のあった201事例の26.9%に支援中の再犯が確認された.支援者が感じた課題としては,本人に関すること,本人の家族に関すること,支援機関に関すること,再犯防止など4事項18種が確認できた.今後は検察庁をはじめ市内各機関との適切な連携方法を模索し,既存の支援の可能性を追求すること,もし既存の支援では十分な支援が行えない場合は市のプロジェクトとして新たな支援手段を創出していくことが求められる.
ISSN:0911-0232
2424-2608
DOI:10.24469/jssw.64.4_56