患者と家族の退・転院先の意向についての量的研究――A病院のカルテ・ソーシャルワーク記録調査より

A病院のカルテ・ソーシャルワーク記録を用いて,患者と家族の退・転院先の意向の異同や動向,両者の意向に関連する要因とそれが及ぼす影響を検討した.対象は,家族不在者などを除いた,回復期リハビリテーション病棟入院料算定の患者と家族204例である.分析は,患者と家族の退・転院先の意向に関わるデータを集計し,入院時と入院1カ月時の意向の推移を整理しつつ,統計分析(Mann–WhitneyのU検定,χ2検定,重回帰分析)を行った.その結果,以下の3点が示された.①家族は患者本人と比較して,多様な視点から退・転院先を検討している.②家族の退・転院先の意向は,患者の退・転院先の意向と比べて変動しやすい.③同居...

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Published in社会福祉学 Vol. 59; no. 1; pp. 27 - 39
Main Author 林, 祐介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉学会 31.05.2018
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Summary:A病院のカルテ・ソーシャルワーク記録を用いて,患者と家族の退・転院先の意向の異同や動向,両者の意向に関連する要因とそれが及ぼす影響を検討した.対象は,家族不在者などを除いた,回復期リハビリテーション病棟入院料算定の患者と家族204例である.分析は,患者と家族の退・転院先の意向に関わるデータを集計し,入院時と入院1カ月時の意向の推移を整理しつつ,統計分析(Mann–WhitneyのU検定,χ2検定,重回帰分析)を行った.その結果,以下の3点が示された.①家族は患者本人と比較して,多様な視点から退・転院先を検討している.②家族の退・転院先の意向は,患者の退・転院先の意向と比べて変動しやすい.③同居配偶者がいると,家族機能(詳細は本文参照)が高く,患者と家族の退・転院先の意向ともに自宅になりやすい.これにより,効果的な退・転院支援や有用な意思決定支援のあり方を検討する際の重要な知見を得た.
ISSN:0911-0232
2424-2608
DOI:10.24469/jssw.59.1_27