放射性アルミニウム廃棄物の安定化処理技術の開発

材料試験炉(JMTR)の炉心構造材にはステンレス鋼の他,アルミニウム(Al)やベリリウム(Be)が多く使用されている.当該炉の廃止措置に当たって,放射性雑固体廃棄物(廃棄体)を作製するが,その埋設基準にはドラム缶内に健全性を損なう物質を含まないことおよび廃棄体の放射能が基準で定められた放射能量を超えないことが要求されている.とくに,Alはコンクリート等のアルカリ物質と反応し水素を発生することから,固化体中のボイド形成による強度低下,内圧上昇による廃棄体の破損等による施設管理が課題となっている.本研究では,バイヤー法を応用したAlの安定化処理技術の確立を目的とし,コールド試験にて基本的な処理工程...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in原子力バックエンド研究 Vol. 29; no. 1; pp. 2 - 9
Main Authors 永田, 寛, 土谷, 邦彦, 藤田, 善貴, 大森, 崇純, 関, 美沙紀, 武内, 伴照, 井手, 広史, 藤原, 靖幸, 堀, 順一, 大塚, 薫, 佐野, 忠史, 吉永, 尚生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会 15.06.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1884-7579
1884-7579
DOI10.3327/jnuce.29.1_2

Cover

Loading…
More Information
Summary:材料試験炉(JMTR)の炉心構造材にはステンレス鋼の他,アルミニウム(Al)やベリリウム(Be)が多く使用されている.当該炉の廃止措置に当たって,放射性雑固体廃棄物(廃棄体)を作製するが,その埋設基準にはドラム缶内に健全性を損なう物質を含まないことおよび廃棄体の放射能が基準で定められた放射能量を超えないことが要求されている.とくに,Alはコンクリート等のアルカリ物質と反応し水素を発生することから,固化体中のボイド形成による強度低下,内圧上昇による廃棄体の破損等による施設管理が課題となっている.本研究では,バイヤー法を応用したAlの安定化処理技術の確立を目的とし,コールド試験にて基本的な処理工程を確立した.また,京都大学研究用原子炉(KUR)にてAl試験片を中性子照射し,本処理工程によるAl中に含まれる添加元素や不純物元素で生成する放射性核種の除去特性を調査した.結果として,本処理工程によりAlをアルミナ(Al2O3)に変換可能であり,通常の放射性廃棄物の処理方法と同様にセメント系充填材によって固化できる見通しが得られた.
ISSN:1884-7579
1884-7579
DOI:10.3327/jnuce.29.1_2