小児の上腕骨滑車および内側顆偽関節を合併した内反肘の2例

内反肘と上腕骨滑車・内側顆偽関節を合併した稀な症例を経験したので報告する. 症例1:14歳男児.右上腕骨離断性骨軟骨炎で手術施行したが,左肘に内反変形があり,CTで滑車偽関節が見られ,内反肘には上腕骨楔状骨切り術と滑車偽関節には骨釘を用いた骨接合を同時に行った.術後半年で骨癒合を確認した. 症例2:12歳男児.1年前に転倒し右肘痛が出現したが,受診せず,8か月後に近医を初診し,内反肘・内側顆偽関節と診断された.症例1と同様の手術を施行し,術後10か月で骨癒合を確認した. 上腕骨顆上骨折の骨癒合後も内反肘が進行する場合は,滑車への骨折の波及が考えられ滑車骨化核が成熟する14~15歳まで経過観察が...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 24; no. 2; pp. 40 - 43
Main Authors 古島, 弘三, 伊藤, 恵康, 清水, 雅樹, 綾部, 敬生, 伊藤, 雄也, 草野, 寛, 古賀, 龍二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2017
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.24.2_40

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Summary:内反肘と上腕骨滑車・内側顆偽関節を合併した稀な症例を経験したので報告する. 症例1:14歳男児.右上腕骨離断性骨軟骨炎で手術施行したが,左肘に内反変形があり,CTで滑車偽関節が見られ,内反肘には上腕骨楔状骨切り術と滑車偽関節には骨釘を用いた骨接合を同時に行った.術後半年で骨癒合を確認した. 症例2:12歳男児.1年前に転倒し右肘痛が出現したが,受診せず,8か月後に近医を初診し,内反肘・内側顆偽関節と診断された.症例1と同様の手術を施行し,術後10か月で骨癒合を確認した. 上腕骨顆上骨折の骨癒合後も内反肘が進行する場合は,滑車への骨折の波及が考えられ滑車骨化核が成熟する14~15歳まで経過観察が必要である.内反肘では尺骨神経麻痺,後外側回旋不安定症(PLRI),また偽関節では疼痛や変形性関節症への進展が危惧され,上腕骨楔状骨切り術と骨釘による偽関節固定を行った.偽関節部は骨切りで摘出した骨片から採取した骨釘を用いて固定し,低侵襲かつ容易に施行でき,2例とも骨癒合し,同時手術は有効であった.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.24.2_40