左室形成術, 僧帽弁および三尖弁形成術, 血液透析導入, ICD植え込みなどの集学的治療が奏効した重症慢性心不全の1例

症例は65歳, 男性. 左冠動脈前下行枝seg.6の閉塞による急性心筋梗塞を起こした後, 重症心不全による入退院を繰り返すようになった. 内科的治療が限界となったため, 当院心臓血管外科にて左室形成術〔(septal anterior ventricular exclusion; SAVE)手術〕, 僧帽弁形成術, 三尖弁形成術が施行された. 術後の経過は順調であり, 利尿薬, 強心薬などの内服による外来通院が可能となった. しかし, 術後6カ月で再度心不全症状が増悪, 利尿薬, カテコラミンなどによる加療を行ったが, 十分な尿量が得られず, 週3回の体外限局濾過法(extracorporea...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 1; pp. 69 - 74
Main Authors 森本, 大成, 大塚, 薫, 北浦, 泰, 井上, 徹, 長門谷, 克之, 藤田, 修一, 片嶋, 隆, 伊藤, 隆英, 神裕, 美子, 宗宮, 浩一, 勝間田, 敬弘, 石坂, 信和, 寺本, 邦洋, 寺崎, 文生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.69

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Summary:症例は65歳, 男性. 左冠動脈前下行枝seg.6の閉塞による急性心筋梗塞を起こした後, 重症心不全による入退院を繰り返すようになった. 内科的治療が限界となったため, 当院心臓血管外科にて左室形成術〔(septal anterior ventricular exclusion; SAVE)手術〕, 僧帽弁形成術, 三尖弁形成術が施行された. 術後の経過は順調であり, 利尿薬, 強心薬などの内服による外来通院が可能となった. しかし, 術後6カ月で再度心不全症状が増悪, 利尿薬, カテコラミンなどによる加療を行ったが, 十分な尿量が得られず, 週3回の体外限局濾過法(extracorporeal ultrafiltration method; ECUM)を開始した. その後, 肺うっ血などの心不全症状は改善し, 強心薬を漸減, 内服薬へと切り替えることができた. しかし, ECUM開始後も低心拍出量のため尿量が不十分であり, 血液維持透析を導入した. その後経過は良好で退院したが, 退院から数日後, 心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)による心肺停止状態となり, 救急車内で電気的除細動が行われた後, 当院に搬送された. 病歴と経過より植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)の適応であると考え, ICDの植え込みを行った. 2007年7月に内科的治療が限界となって以来, SAVE手術, 僧帽弁および三尖弁形成術, 血液透析導入, ICD植え込み術などの集学的治療により2年6カ月以上QOLを維持して, 日常生活を行っている重症慢性心不全の1例を報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.69