オーバーデンチャーの支台歯に対するフッ化物バーニッシュの効果

歯根部を残してオーバーデンチャーの支台歯として用いる場合, 唾液による自浄性の低下やプラークコントロールの困難さから, 支台歯が歯根面う蝕や歯周疾患に罹患するリスクが高い。 そこで, 本研究は, 溶液と異なり高い停滞性が期待される高濃度フッ化物バーニッシュに着目し, オーバーデンチャーの支台歯に塗布することで, う蝕および歯周疾患の予防効果がどの程度期待できるかを明らかにすることを目的とした。 調査対象者は48歳から73歳の16名 (31歯) で, 22, 600ppmF-の高濃度フッ化物バーニッシュ塗布群6名 (14歯) とコントロール群10名 (17歯) とした。群分けはランダムに割り付け...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in老年歯科医学 Vol. 19; no. 1; pp. 8 - 12
Main Authors 大神, 浩一郎, 小林, 健一郎, 杉山, 哲也, 眞木, 吉信, 櫻井, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 30.06.2004
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:歯根部を残してオーバーデンチャーの支台歯として用いる場合, 唾液による自浄性の低下やプラークコントロールの困難さから, 支台歯が歯根面う蝕や歯周疾患に罹患するリスクが高い。 そこで, 本研究は, 溶液と異なり高い停滞性が期待される高濃度フッ化物バーニッシュに着目し, オーバーデンチャーの支台歯に塗布することで, う蝕および歯周疾患の予防効果がどの程度期待できるかを明らかにすることを目的とした。 調査対象者は48歳から73歳の16名 (31歯) で, 22, 600ppmF-の高濃度フッ化物バーニッシュ塗布群6名 (14歯) とコントロール群10名 (17歯) とした。群分けはランダムに割り付けを行い決定した。調査項目は歯周組織の状態 (CPIコード, 動揺度), う蝕罹患の有無および唾液中細菌数 (mutans streptococci, Lactobacilli) の増減とした。 コントロール群における17歯中4歯は歯周疾患の進行に伴い抜歯となった。CPIコードおよび動揺度に関してはフッ化物バーニッシュ群とコントロール群との間には統計学的に関連性を認めた (p<0.05) が, 両群ともに新たなう蝕の発現は認められず, 唾液中う蝕原性菌数においても統計学的に関連性を認めなかった。 本研究の結果から, 歯根面う蝕の発現は両群とも見られなかったが, 定期的な高濃度フッ化物バーニッシュの局所応用は, その停滞性から応用歯の歯周疾患の予防に対しては有効であることが判明した。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.19.8