鼻副鼻腔に発生した神経鞘腫の2例

神経鞘腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍で,頭頸部領域では聴神経に発生することが多く,鼻副鼻腔原発は1%と非常に稀である。発生部位は,鼻副鼻腔の中では鼻中隔,篩骨洞に多く,由来神経を同定することが困難である場合が多いとされる。根治治療は手術による完全摘出が必要となるが,鼻副鼻腔原発の神経鞘腫例は術後に再発を認めることは少なく,神経脱落症状もほぼ起こらないとされる。近年では内視鏡アプローチによる摘出も広く行われるようになってきている。今回我々は術前に血管系腫瘍を疑っていたため生検が困難であり,内視鏡下鼻内内視鏡手術による摘出術を行い,病理組織診断で神経鞘腫との確定診断に至った2例を経験したので...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 60; no. 4; pp. 553 - 558
Main Authors 下野, 真紗美, 朝子, 幹也, 宇都宮, 敏生, 濱田, 聡子, 岩井, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2021
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Summary:神経鞘腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍で,頭頸部領域では聴神経に発生することが多く,鼻副鼻腔原発は1%と非常に稀である。発生部位は,鼻副鼻腔の中では鼻中隔,篩骨洞に多く,由来神経を同定することが困難である場合が多いとされる。根治治療は手術による完全摘出が必要となるが,鼻副鼻腔原発の神経鞘腫例は術後に再発を認めることは少なく,神経脱落症状もほぼ起こらないとされる。近年では内視鏡アプローチによる摘出も広く行われるようになってきている。今回我々は術前に血管系腫瘍を疑っていたため生検が困難であり,内視鏡下鼻内内視鏡手術による摘出術を行い,病理組織診断で神経鞘腫との確定診断に至った2例を経験したので報告する。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.60.553