小児上腕骨内側顆粉砕骨折後にFishtail変形を来した1例

症例:11歳男性.階段から落ち受傷した.翌日,当院を初診し右上腕骨内側顆粉砕骨折と診断された.受傷3日後に手術を施行し,観血的整復後に,K-wire固定を行った.3週のギプス固定の後,可動域訓練を開始した.患者の強い要望で術後3か月より患肢免荷でスポーツ部分復帰とした.滑車の骨壊死と成長障害がみられたが,特に疼痛や機能障害がなかったため,経過観察を続けた.術後2年で制限なくスポーツに復帰した.術後3年で画像上fishtail変形を認めたが,疼痛・可動域制限や内外反変形はなく,スポーツにも全く支障はなかった. 考察:本症例では滑車部の転位と粉砕が著明なため,骨壊死と成長障害が生じたと考えられた....

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 95 - 98
Main Authors 近藤, 幹朗, 宇野, 智洋, 原田, 幹生, 高原, 政利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2016
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.23.2_95

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Summary:症例:11歳男性.階段から落ち受傷した.翌日,当院を初診し右上腕骨内側顆粉砕骨折と診断された.受傷3日後に手術を施行し,観血的整復後に,K-wire固定を行った.3週のギプス固定の後,可動域訓練を開始した.患者の強い要望で術後3か月より患肢免荷でスポーツ部分復帰とした.滑車の骨壊死と成長障害がみられたが,特に疼痛や機能障害がなかったため,経過観察を続けた.術後2年で制限なくスポーツに復帰した.術後3年で画像上fishtail変形を認めたが,疼痛・可動域制限や内外反変形はなく,スポーツにも全く支障はなかった. 考察:本症例では滑車部の転位と粉砕が著明なため,骨壊死と成長障害が生じたと考えられた.滑車の骨壊死では可動域制限,内反変形の後遺症が危惧される.本症例では上腕骨遠位端の内反とfishtail変形を認めたが,滑車部関節面の短縮が主で角度は保たれたため,外観上の変形も機能障害もなく,良好な成績が得られた.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.23.2_95