悪性神経膠腫に対するBCNU wafer

BCNU waferは, 悪性神経膠腫の摘出後に局所投与する化学療法剤で, 日本では2013年より認可された. 本論文では, 自験例も含めた知見を含め, BCNU waferの概要, 動態ならびに治療成績について概説する. BCNU waferは, BCNU 7.7mgを含有する徐放性調剤である. 悪性神経膠腫の再発の多くが局所再発であることから, 局所制御を目的とした本剤は有用であると期待できる. In vitroやin vivoの研究においては, 留置後高濃度のBCNUが局所に数週間にわたり分布するとされる. 臨床例においても, 摘出腔内では, 少なくとも留置後1週間は数μmol/lの高濃...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 25; no. 11; pp. 882 - 888
Main Author 大上, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2016
Subjects
BCNU wafer
carmustine wafer
concentration
malignant glioma
outcome
Online AccessGet full text
ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.25.882

Cover

More Information
Summary:BCNU waferは, 悪性神経膠腫の摘出後に局所投与する化学療法剤で, 日本では2013年より認可された. 本論文では, 自験例も含めた知見を含め, BCNU waferの概要, 動態ならびに治療成績について概説する. BCNU waferは, BCNU 7.7mgを含有する徐放性調剤である. 悪性神経膠腫の再発の多くが局所再発であることから, 局所制御を目的とした本剤は有用であると期待できる. In vitroやin vivoの研究においては, 留置後高濃度のBCNUが局所に数週間にわたり分布するとされる. 臨床例においても, 摘出腔内では, 少なくとも留置後1週間は数μmol/lの高濃度のBCNUが分布していた. 治療効果についてのメタアナリシスの結果から, 初発例におけるStupp regimenへの追加効果は期待できるが, 再発例については十分なエビデンスがないと考えられる. しかし, 使用期間も短く, 今後のさらなる臨床研究の結果が待たれる.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.25.882