空腸異物肉芽腫により発症した腸閉塞の1例
症例は48歳の女性で,上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部手術歴はなく,CTで十二指腸水平脚から上部空腸にかけて腸管の狭窄とその口側腸管の拡張を認めた.単純性腸閉塞の診断で胃管留置,輸液,絶食を開始したが改善を認めず,入院後8日目に審査腹腔鏡を施行した.上腹部にて索状物によって形成されたヘルニア門に,十二指腸から回腸末端までの小腸が緩く嵌入していた.索状物は上部空腸から発生したと思われる腫瘤と下行結腸間膜が癒着して形成されていた.癒着を切離後に腫瘤を含む空腸を楔状に全層切除を施行した.病理組織学的所見では悪性像は認めず,中心に異物を含む壊死組織を囲むように組織球集簇巣を認め,異物肉芽腫...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 8; pp. 1066 - 1071 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2024
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.85.1066 |
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Summary: | 症例は48歳の女性で,上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部手術歴はなく,CTで十二指腸水平脚から上部空腸にかけて腸管の狭窄とその口側腸管の拡張を認めた.単純性腸閉塞の診断で胃管留置,輸液,絶食を開始したが改善を認めず,入院後8日目に審査腹腔鏡を施行した.上腹部にて索状物によって形成されたヘルニア門に,十二指腸から回腸末端までの小腸が緩く嵌入していた.索状物は上部空腸から発生したと思われる腫瘤と下行結腸間膜が癒着して形成されていた.癒着を切離後に腫瘤を含む空腸を楔状に全層切除を施行した.病理組織学的所見では悪性像は認めず,中心に異物を含む壊死組織を囲むように組織球集簇巣を認め,異物肉芽腫と診断した.病理組織学的には異物の種類は特定できなかったが,腹部手術歴がないことや魚介類の嗜好から魚骨などの食物による異物反応が考えられた.空腸異物肉芽腫による腸閉塞の1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.85.1066 |