頭蓋顔面外傷における難治性鼻咽頭出血に関する検討 : 外頸動脈領域経カテーテル的塞栓術および外頸動脈結紮術の適応に関する凝固線溶系異常の観点からの考察

頭蓋顔面外傷に伴う鼻咽頭出血では, 外頸動脈領域に対する経カテーテル的動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization, 以下TAE) が必要となることが多い. 頭蓋底骨折, 顔面骨骨折, 頭頸部鋭的損傷いずれかを認めた頭蓋顔面外傷129例のうち, TAEの適応と判断した難治性鼻咽頭出血7例について検討した. 生存群4例では1例のみで重症頭部外傷を合併していたのに対し, 死亡群では3例全例に認められた. また, 死亡群のD-dimer値は生存群と比して高い傾向にあった. 死亡群の死亡原因はいずれも鼻咽頭出血による出血性ショックであり, TAE準備中や施行中に...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 311 - 318
Main Authors 谷崎, 眞輔, 村崎, 岬, 狩野, 謙一, 前田, 重信, 石田, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2019
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Summary:頭蓋顔面外傷に伴う鼻咽頭出血では, 外頸動脈領域に対する経カテーテル的動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization, 以下TAE) が必要となることが多い. 頭蓋底骨折, 顔面骨骨折, 頭頸部鋭的損傷いずれかを認めた頭蓋顔面外傷129例のうち, TAEの適応と判断した難治性鼻咽頭出血7例について検討した. 生存群4例では1例のみで重症頭部外傷を合併していたのに対し, 死亡群では3例全例に認められた. また, 死亡群のD-dimer値は生存群と比して高い傾向にあった. 死亡群の死亡原因はいずれも鼻咽頭出血による出血性ショックであり, TAE準備中や施行中に心停止にいたった. 従って, 頭蓋顔面外傷に伴う難治性鼻咽頭出血では, 速やかにTAEを実施する必要がある. 一方で, 頭部外傷に伴う高度凝固線溶系異常を呈している症例においては, TAEよりも外頸動脈結紮術を考慮すべきであると思われた.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.33.311